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自傷患者を“かまってちゃん”だと思っていた男性医師、何人もの患者を診て気づく「心が辛さに耐え切れないとき、自分の体を傷つけると脳内麻薬が出る。」
自傷患者を“かまってちゃん”だと思っていた男性医師(50)が、世界で唯一の“リストカット傷あと特化クリニック”を開くまで「何人も診察していたら違和感が…」

「自傷する人は“かまってちゃん”だろうと思っていました」

 世界で唯一の“リストカットの傷あと特化クリニック”を開いた形成外科医の村松英之さん(50)は、研修医時代にそんな「偏見」を抱えていたという。

 しかしその考えは、開業後に180度変わった。今、日本全国から彼の元を訪れる女性患者たちの意外な姿とは。(全4本の1本目/2本目を読む)

(中略)

開院から半年ほど経つと、リストカットあとに悩む患者さんが増えてきた
──どんなことがあったのですか。

村松 開院当初はケガや事故、ヤケドの傷あとに悩む人を診るつもりでした。でも半年くらい経つと、リストカットの傷あとに悩む患者さんが増えてきて。「きずときずあとのクリニック」という名前なので、ネット検索をしてこの病院名が出てきたんでしょうね。

 それで自傷患者さんに触れる機会が増えたんですが、何人も診察しているときに違和感を持ったんです。それは、みんな身なりがきちんとしていて、真面目だし礼儀正しいんですよ。研修医時代に自分が抱いていたイメージとはまったく違いました。もしかして自分は誤解していたのではと思い、そこから自傷について勉強を始めました。一番驚いたのは「自傷行為にはメリットがある」ということです。

──自分を傷つけることにメリットがある?

村松 これは自傷行為の本質の話ですが、自傷にはストレスを和らげる効果があります。

 患者さんはよく「頭の中が嵐になる」と言いますが、死にたいくらい辛い感情、怒り、悲しみ、絶望に襲われて、頭の中がワーッと混乱状態になってしまう。そのときリストカットなどで体を傷つけると、βエンドルフィンやエンケファリンなどの神経伝達物質が出て、スッと楽になるんです。

 これは痛みや辛さから自分を守る、いわゆる脳内麻薬です。マラソンのランナーズハイや妊婦さんの出産時にも同じような現象が起きます。

──では、自傷することで辛さから逃げられる?

村松 そうです。心が辛さに耐え切れないとき、自分の体を傷つけると脳内麻薬が出る。そうすることで「死にたいほどの現実」を一時的に生き延びられるんです。これは精神科医の松本俊彦先生から学びました。

──他に、自傷による作用はありますか。

村松 自傷後は表情が穏やかになったりします。脳内麻薬の効果で、それまで険しくしんどい顔をしていた人が、微笑むような穏やかな表情になることがあるんです。

──では、研修医時代に見た「自傷患者さんのスッキリとした顔」というのは……?

村松 まさにそれです。リストカットするときに切るのは、皮膚だけはありません。心の中の辛い感情を切り離しているんです。「私にひどいことは何も起きていない」「大丈夫」と、自分自身をだます意味もある。それを知って「深夜に急患で来た患者さんたちはそういうことだったのか!」と、目からウロコが落ちました。

──心の防衛反応なんですね。

村松 自傷によって記憶の解離が見られるケースもあります。これはうちの患者さんの話ですが、ご両親が亡くなったことが大きなストレスになり「両親が死んでから1、2年の記憶がない、ただ、腕にたくさん傷ができていた」と。その方は、親の死というストレスに襲われるたびに腕を切り、それを何度も繰り返して「死のショックが和らいだ頃、ようやく記憶を取り戻した」と言っていました。

出典:https://bunshun.jp/articles/-/83200?page=3
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反応&感想

ななしさん@発達中
医師の発信、当事者ながら腑に落ちる。こういった発信が増えてほしい。

「心が辛さに耐え切れないとき、自分の体を傷つけると脳内麻薬が出る。そうすることで「死にたいほどの現実」を一時的に生き延びられるんです。」
ななしさん@発達中
“リストカットをするときに切るのは、皮膚だけではありません。心の中の辛い感情を切り離しているんです”
こんなに傷跡に対して深く理解をして治療にあたってくれる医師がいるんだね。
その存在を知れただけで、今とても心がほぐれてる。
ななしさん@発達中
たまに「またやっちゃったー」とあっけらかんと報告するポストが流れてくる。
あの子たちは、自分を守っていたのか。
ななしさん@発達中
自殺は死ぬためにする行為
自傷は生きるためにする行為

やから、意味が全然違うねんで、って若かりし頃に教えていただきました。
ななしさん@発達中
リスカは死にたいけど、何らかの理由で死ねない人がする行為だと思ってます。
痛みと血を見て落ち着いて、また生きなきゃと思うのです…。
私の場合ですが。
自死して人に迷惑をかけれないし、かと言って無関係の人を◯す意味も分からないので。
リスカは何かと闘ってる証だと思ってます。
ななしさん@発達中
『心が辛さに耐え切れないとき、自分の体を傷つけると脳内麻薬が出る。そうすることで「死にたいほどの現実」を一時的に生き延びられるんです。これは精神科医の松本俊彦先生から学びました。』

自傷行為は素人が編み出した苦肉の自己治療の一種なのだと知ってほしい。
ななしさん@発達中
スポーツやっている人で、嫌なことがあると過剰な筋トレとか走り込みで自分を痛めつける人がいるけど、もしかしてリストカットと本質的には同じ行動原理なのかな?
行動の結果が違うだけに思える。
そうなると、思ったより普遍的なものなのかもしれない
ななしさん@発達中
自傷って刃物だけの話じゃないんよね。
切る焼くとか、これと同じ構造で、男に走る・セックスに逃げる・食に走るみたいな形で出る人も多い。
見えるか見えないかだけの違いで、本質は全部「あふれた感情の処理」なんよね。
ななしさん@発達中
こういう「知らなかった」「勉強になった」とかの反応を見るたび、やっぱ世の中の大半は幸せな人生なんだなーと思う
ななしさん@発達中
自分がリスカしてた時、どうしようもないイライラや恐怖感が落ち着いた。あの痛みと出血が抗不安薬より効果が出て、自傷行為は自分はまだ人間だと認識して守ってくれるような確認作業であり誰かに気づいてほしいなんて考え一切無かった
リスカの傷って案外消えないもんだなぁとぼんやり思っているだけ
ななしさん@発達中
困難な事情を抱えた人達に寄り添う治療をされてる医師の記事
勉強になったし、温かい気持ちになった
一方で怖かった部分マーク
命を救うのが医師だから、自傷行為に対して懲罰的な感情を抱くのも致し方無いのかもしれないが
精神的な問題に対する防衛反応とか認知度がもっと高まってほしい

ななしさん@発達中
この記事を読んですごいと思った人は、ぜひ記事内で言及されてる松本俊彦さんが解説を書いた本を読んで欲しい。
(ただし、かなり自分の存在そのものが揺さぶられる本)

こういう医者に出会えるかどうか、本当に切実な問題。

『傷の声』齋藤塔子 医学書院
傷の声 絡まった糸をほどこうとした人の物語 (シリーズケアをひらく)
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