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グッデイの発達障害特集にて「ブレインクリニック東京」が紹介され話題に。

こちらのクリニックでは”QEEG検査”と呼ばれる脳波検査を発達障害者向けに実施しており、今年2月の開業からすでに多くの患者さんを集めている模様。。

番組内ではTMSと呼ばれる脳に微弱な電流を流す治療法も紹介しており、事情を知る研究者の方が警鐘を鳴らしています。
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研究者『発達障害の脳の状態について、明確な答えは出ていません』

自閉症の遺伝的原因や、結果として起こる脳の解剖学的・機能的状態について、どんな科学者も明確な答えを出せてはいません。

これまで提案されてきた自閉症の発症 に関する仮説が紹介されています。興奮・抑制バランス、多遺伝子変異説、脳結合などをはじめ、代表的なものが整理されています。
発達障害の報道については、私の立場で言えないことが多く、とても歯がゆいです。

”発達障害の遺伝的素因、脳内基盤については、まだ一つも明確に説明できる科学的根拠はない”

ことを、私のツイートを見てくださっている方には知っていただき、それを念頭に医療の選択などなさることを願っています。
Twitterを昨年から運用して「最新の科学に基づいた発達障害の医療」といった大義名分を様々な立場の方が掲げているのを目にし、いつもツッコみたい気持ちで、悔しさを感じます。

専門家という信頼の高い肩書で、本来の専門を超えて専門性を主張するケースには、本当に注意していただきたいです。。
私のような研究者は、毎日海外の論文を読み、発達障害の最新を科学的情報を常にアップデートするのが仕事です。

そうした情報を基礎に、新たな発見のための実験を、研究メンバーとともに、脳画像解析、実験心理、動作解析、行動薬理などの手法で実践し、それを論文として発表することも仕事です。
私は医療行為には携われません。医師として臨床とともに研究もバリバリやる方はいて、研究の舞台でもご一緒しますが、そうした方は医師全体の中では希少です。研究者は臨床現場の医師たちの耳に届くように研究を積み重ね、臨床研究として長年の治験を重ね、ごく一部が医療行為として認められます。
医師=研究に詳しい人、と考えるのは当然で、私自身も医療関係の研究に携わる前には、この部分をよく理解していませんでした。役割分担の話で、むしろ臨床現場で医師として患者と向き合い、研究で明らかになってきた知識を基に実践から効果的なケアを発見する立場は、研究者より立派だと思っています。
いつもこの手の話には、ぼんやりと言及しかできないのですが、事情を知っている立場で、とても遠回りな例え話のように伝えるしかできません。

発達障害は数年前から日本でとても注目され、それはいろんな非専門家が関わってくるということなので、情報の信頼性について見極めていきたいです。
発達障害関連の研究については最先端をいく先生方をもってしても分かっていないことが多く、だからこそ断定的な発言が出来ない現状🤔

大変共感しましたのでツリーの冒頭部をRTします。
IDE先生の魂の叫びと感じられるツイートです。発達障害クラスタのみなさま全員に読んで頂きたい!

発達障害関連は本当に、情報が玉石混交で、IDE先生のよつに真摯で専門性の高い方ほど断定的なことはおっしゃりません。
ここ最近のTwitterの荒れ具合にモヤモヤしてたので、全力でRT!!
普段こんなことしないのですが、この一連のツイートを読んでと強調させてほしいです。今日だから、感じることがある方もいるのではと思いまして。。
私を支えて下さる当事者の方、保護者様方が、少しでも間違った情報や医療によって時間を浪費し、被害に会われないためのサポートになればと願います。

「TMS」は現状、発達障害には有効性が実証されていない

反復経頭蓋刺激法(rTMS)について、自閉症への治療応用について近年いくつかの研究報告があるからと言って、この程度の報告で実用など危険すぎます。
Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation for Treatment of Autism Spectrum Disorder: A Systematic Review and Meta-Analysis
また、果たして論文を読んだのでしょうか?中程度の効果であり、コントロールとの明確な差がないと論じられています。
うつ病へのTMSの医療適用に長い年月を経たことは多くの方がご存知かと思います。
この論文のような中程度の効果の報告があるだけで、医療での実用など考えられません。また、自閉症の特徴とされる脳機能結合の特徴についても、どの部位を賦活すれば、結合が変容するかなど分かりようがありません。
ターゲットの一つのdlPFC(背外側前頭前野)は、情動の制御に関わる部位ですが、どのような脳状態の評価から、どんな方にrTMSで脳を賦活させ、また全ての方に副作用なく効果が生じるのでしょうか?研究で”平均として一定の効果があった”ことは、個人を対象とする医療行為の絶対的根拠とは程遠いです。
TVの影響力は強く、既にネット上ではサイトでまとめがありますが、本当に私のツイートを見た方は最大限お気を付けいただきたいです。。

いかなる脳画像解析をもってしても発達障害の診断の根拠となる証拠は存在せず、磁気刺激で脳動態を変容する治療などは医療応用に向けた動きは耳にさえしません。
それは、神経科学の分野で発達障害を専門とする研究者のおそらく大多数は、脳動態を変えることによる治療は適切ではないと考えているからです。個人の状態を臨床の洞察で捉え、適切な投薬と支援を発展させるために、世界中の研究者が発達障害の方の脳内神経基盤について研究をしています。
例えば、2016年の論文では、16か所の脳領域間の活動同期の向上/低下の状態が、自閉症の脳活動状態を特徴づけると報告されています。
A small number of abnormal brain connections predicts adult autism spectrum disorder

この複雑な神経回路のどこを磁気刺激で賦活させ、どこを抑制すれば、発達障害の脳活動と行動が変化するなど、誰も分かりようがありません。
問題は、ADHDへのrTMSの使用の医療認可が降りていないことです。鬱への利用はアメリカでは認可が降りています。鬱への効果は十分な研究データが蓄積され、認可に十分な効果が証明されたからです。これに対し、ADHDへのrTMSの効果は、知る限り極めて微弱で、医療適用に耐えうるものとは程遠いです。
一般には分かりづらいシステムですが、こうした侵襲性がある医療行為(副作用や後遺症の可能性がある)は、医者と研究者のチームで臨床研究として国に登録し、実証実験の末に、治験にたどり着き、十分に効果があることが認可されて実用化されます。医師の判断で柔軟に使用する類の手法ではありません。
こうした手続きを行わず、侵襲的方法であるrTMSがADHDの治療技術として有効だとして、医療現場で使用されることが仮にあるとすれば、問題だとお察しいただけるかと思います。医師自身は、鬱の治療として使用していると考えていたとしても、発達障害への効果を謳って治療行為に至ることは問題です。
rTMSを否定しているわけではありません。世界中で研究者や医師が用いています。侵襲的と言っても正しい手続きで用いれば問題はないので、治療を受けられている方はご安心ください!
発達障害に関して、正規の手続きで認可されていない現状で、医療で使用することには問題があるということです。
”発達障害への医療的介入に関しては、「困りごとへの対処」とか「特性のコントロール」といった表現にしてほしい”
https://t.co/woXD8QpRMi
発達障害は遺伝や脳の処理が関わりますが、既成の社会の生活での困難によって定義すべき障害です。
医療行為で脳の状態を変えることを考えるなどより、すべきことがあると思います。
昨日から、少しでも自分の身の周りの方に何事もないように、二日間悩みながらツイートをしていました。。自分のところに来てくださるお子さん、お母さまの姿が脳裏をよぎります。。

自分にできることはこれくらいなので、散歩でもして頭を冷やし、新元号の幕開けらしい時間を過ごそうと思います(^-^;
引用元
発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術
KADOKAWA / 中経出版 (2018-05-25)
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