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新幹線無差別殺人犯「小島一朗」独占手記 私が法廷でも明かさなかった動機

※以下、手記全文より一部引用

16日の電話の後から、私は物を食べながら、新幹線の中で人を殺す計画を立てていた。この頃は品川から新横浜までの間で殺(や)ろうと考えているなど、最終的な計画とは少し違う。

 電話の後は、もう家族に迷惑が掛かるなどということは問題にならなくて、あとは私の心の倫理的な問題だけだった。果して見ず知らずの人を殺すことは赦(ゆる)されるのか。法によって許される、のではなく、私自身が赦すのかという問題だ。

 見ず知らずの人を殺すにはもう少し、何かがなければならないのではないか。その何かは、まだ私にはない。何かが起こってくれればよいのだが。

 餓死しようとしたのは家族のためで、本当は刑務所に入りたい。でなければわざわざ時間の掛かる餓死など選ぶものか。それに本当に3カ月何も食べていないのなら生きているはずがない。食べる機会があれば、しっかりと飲み込み、吐き出したりしない。本当はまったく死にたくないのだ。

 刑務所に入るのは子供の頃からの夢である。これを叶えずにどうして死ねようか。そして「むしゃくしゃした出来事」が起きた。

続く

https://news.livedoor.com/article/detail/17633210/
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警察との攻防

3月21日の朝、木曽署の警察官が3人来た。最初は友好的に職務質問が始まった。名前は? 住所は? 職業は? 家族は? どう生活している?

 雨の中、この東屋から出ていくことを迫られるが、断った。誓約書を書く。確か内容は「2018年の3月19日から4日間、雨が降り続きますが、私は危険を承知でここに居るので、何があっても誰にも責任を問いません」だ。

 これを役所の人が見る。はねつけられた。警察は態度を変えて、友好的ではなくなった。私は雨が止んだら出ていく、と言ったが、警察官はいますぐ出ていけという。その後は、

「出ていけ、邪魔だ、迷惑」

「断る。雨が止んだら、出ていきます」

 といったやりとりだ。

「雨に濡れることだけではない。地面が濡れていたり視界が悪く危険だから、出ていくことはできない。晴れたら、出ていきます」

「上にある森林鉄道が展示されている屋根の下で雨宿りをしたらいい」

「ここが危険なら、そこも危険である。私は夏の台風もここで過ごしたのだ。ここは経験的に、相対的に安全である。私の命に一番責任を持っているのは私だ。どうするかは私が決める」

「ねざめホテルに泊まったらいい」

「そんなことに遣うお金はない。私はホームレスなのだから。いっときのために、千秋の苦しみを味わう訳にはいかない。私の人生はこれからもまだまだ長いのだから」

 さらに私は言った。

「私には生存権がある」

「この場合はあたらない」

「ホームレスが立ち退きを迫られた時に、断る理由としてよく使われるのが生存権だ。だから私も生存権を主張する。この雨の中、屋根のある下から立ち退かそうとするのは人道にもとる。血も涙もないのか」

 警察官が私の荷物を勝手に取って、挑発してきた。

「返してほしかったら、ここまでおいで」

「ホームレス自立支援法第11条に基づいて、まず社会の福祉を尽くしてから、法令の規定に沿って排除してください。生活保護の話をして、それでも私が受け入れなかったら、行政代執行してください。いついつまでに立ち退けと書面で告知してください」

「それは警察の仕事か」

「警察の仕事でないとしたら、私の相手をするのは貴方の仕事ではない。貴方の仕事は、その仕事をするところへ、私のことを引き継ぐことだ」

「お前をどかすのが警察の仕事だ」

「私には生存権がある。私は生きた人間であって、しかも日本国民です。基本的人権に守られています」

「権利、権利ばかり主張して義務を果たしているか?」

「生存権、その基本的人権は生まれながらにして持っている権利であって、何かの義務を果たさなければ与えられない権利ではない。貴方は警察官でしょう。公務員には憲法を守る義務がある。憲法は基本的人権を保障している。貴方は警察官としての立場があるのだから、私の基本的人権を守る義務があるんだ」

「なら、制服を脱いだらやっていいんだな」

「どうして制服を脱いだらやっていいことになりますか。制服を脱いだら法律を守らなくてもよいのなら、どうして制服を着ていない私が法律を守っていないからといって咎められるのか。また私が法律を守っていないから貴方も法律を守らなくてもよいと言うなら、貴方が法律を守っていないから、私も守らなくていいことになる。貴方が私に法律を守らせたいのなら、まず貴方が法律を守らなければならない」

「口だけは達者だな」

「達者だということは私が正しいと認めるんだな。なら、法の手続きに沿って排除してくれ」

「よく分からないけど、間違っていると思うよ」

「貴方は自分に自信がないようだが、ハッキリ言おう。私は正しい」

 そう言ったら、警察が私の手に持っていた自転車のサイドバッグを無理矢理奪い取った。その時に私の右手の人差し指から薬指までの3本にある爪がめくれて出血した。

「ううっ」

「大丈夫か。病院に行くか?」

「断る」

 警察の行動はエスカレートしてくる。職務質問で注意を引くために肩をつかんだりすることは認められているが、どついたり、ゆさぶったり、引き倒したりすることは、違法ではないだろうか。

 また、私は自分の荷物をすべて一度見せているのだから、突然、荷物を奪い取ることも違法ではないのか。しかもその目的は中身を見ることではなく、私を挑発することにあるのだ。

 雨が一時的に止んだのと、警察官が怖かったので、その日は上の森林鉄道が展示されている屋根の下に移動した。

「もう入らないと約束しろ」

「しばらくは入りません」

 19時、再び裏寝覚の東屋に戻った。

反省も更生もしない  

翌朝、役所の人が来る。

「もう入らないと言ったじゃないか」

「しばらくは入りません、と言った。しばらくとは3時間のことだ。カントは嘘をつくことを道徳的に認めていないが、言い逃れをすることは認めている。雨が止んだら、出て行く。天気予報によれば、明日には止みますから。今日はここで雨宿りさせてください」

 役所の人は警察に通報した。

「入るなと言っただろう」

「上では雨に濡れるから入った。ここの方が安全である。これは緊急避難だ」

「意地になっているのか?」

「意地になっているのは貴方かもしれない。それはフロイトの精神防衛機制でいうところの投影というやつだよ。自分が思っていることを相手が思っていると勘違いをしているのだ」

「意味が分からない。病院に行くか?」

「フロイトの精神防衛機制は中学校の義務教育で習う内容であって、それが分からないのは貴方の教養が足りないのだ」

「どうしたら出ていってくれる?」

「雨が止んだら出ていく」

「それ以外」

「行政代執行してください。いついつまでに立ち退けと書面で告知してください」

「それ以外で」

「蓬莱の玉の枝か、火鼠の皮衣を持ってこい」

「なんだそれは。病院に行くか?」

「竹取物語は義務教育だろう。それが分からないのは教養が足りないのだ」

「おかしいって。病院に行こう」

「断る。緊急性がなく本人が断っている以上、それは警察の仕事ではない」

「この東屋はボロボロだ。いつ崩れてもおかしくない。危険だから出ていけ」

 警察が東屋の柱を蹴りだす。

「この東屋は危険ではない。それは貴方も分かっているはずだ。だから、柱を蹴ることができる」

「他人の立場になって考えろ」

「貴方も私の立場になって考えてみてください」

「もしお前の土地に誰かが居座ったらどうするんだ?」

「私有地と公有地では扱いが違う。ホームレス自立支援法第11条は公有地を対象としておりますから」

「おかしいんじゃないか? 病院に行くか?」

「断る。緊急性がなく、本人が断っている以上、それは警察の仕事ではない」

「どこの仕事なんだ?」

「分からないなら、一度、警察署に戻ってお勉強しておいで」

「どうしてそんなに偉そうなんだ」

 警察が私の下に敷いていたブルーシートと断熱シートを無理矢理奪い取った。私は転倒して左膝を擦り剥いて、出血する。そしてまた昨日みたいに、どついたりゆさぶったり、引き倒したりするようになった。

「これは暴行だぞ」

「現行犯逮捕だ、文句あるか?」

「逮捕するなら、手錠をかけろ。私は抵抗しない」

「逮捕されたいのか?」

「逮捕したくないのか?」

「したくないから説明しているんだろう」

「したくないなら逮捕するな。ただし、説得は無理だ」

「なら、逮捕する」

「なら、手錠をかけろ。これは暴行だ。暴行はやめろ」

「お前が出ていったら、やめてやるよ」

 しばらく寝袋の中で丸まって耐えていたら、どこからか4人目の警察官が飛んできて、暴行をやめさせる。

 4人目の警察官が言う。

「障害者手帳を見せて」

 私は手帳を見せた。

「明日は立ち去るように」

 4人目の警察官が、他の警察官に指示を出して、みんな帰っていく。

「明日、まだ居たら、またやってやるからな」
 警察の職務質問は21日22日ともに、9時から16時くらいの7時間ほど。
常にどなられっぱなしで、暴行にはまいった。

出血は右手の人差し指から薬指までの3本にある爪がめくれたこと、左膝を擦り剥いたくらいで他はない。  

警察の挑発は公務執行妨害を誘発させようとして行われるものだと思われるが、しかしあれは限度を超えて違法ではないだろうか? 

警察の発言の中で一番ひどいと思ったのは、「なら、制服を脱いだらやっていいんだな」である。
次は、「現行犯逮捕だ、文句あるか?」であり、結局逮捕せず、暴行するだけ暴行したことも合わせて、ひどい。  

それから、私は22日の夜には裏寝覚を出て、道の駅のトイレに入り、23日の朝5時にはそこを出た。19号線沿いのコインランドリーで服を洗い、木曽署の近くにある銭湯に入って垢の皮を落とす。閉店まで銭湯に居て、それから諏訪に向かって自転車をこいだ。  

諏訪で6月9日まで、毎日、温泉に入り、外食をして、体力をつけて、身体を治し、事件当日の朝、「あずさ」で新宿に行き、夜まで遊んだ後、新幹線に乗り、新横浜を過ぎてから、ナタとナイフを取り出して、無差別殺人をして、やっと逮捕された。  

子供の頃から刑務所に入りたかったけれど、そこまでのことをするのはどうかな、と思っていた。だが、警察すら、法律を守る気がないのに、自分だけ守っていてもしかたない。自分の人権は守られないのに、他人の人権を守っていてもしかたない。  

そう思って、人を殺してでも刑務所に入ろうと思った。どうせ刑務所に入るなら、無期刑になって一生を終えたい。3人殺したら死刑になるから、2人までにしようと思っていた。1人殺して、2人に重傷を負わせたから、これでもう無期刑が狙えると思った。それに1人殺すのに手間が掛り過ぎて、肉体的にも精神的にも疲れてしまったので、あのときはもうあれ以上、やることはできなかった。  

刑務所でどのような矯正をされようと、反省もありえないし、更生もありえない。もし有期刑になって、出所することになったら、また人を殺す。刑務所がなぜ幸福な生活であるか知ることはできない。それは信じることだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/17633210/
新幹線内での無差別殺傷事件、なぜそんなことをと思っていたけれど、本人にとってはそうして刑務所に入ることでしか自分の基本的人権が守られないことだったのか。
海外シリアルキラーの調査をまとめたFBI捜査官の本に通じるものがある。  https://twitter.com/eraitencho/status/1223292863816945665 
途中まで読んで、嫌な気持ちになって、読むのを中断した。
どうして、手を差し伸べることができないのか。
公の組織である役所や警察が、何故このような対応ができるのか。  https://twitter.com/CpYoMXLnSo/status/1222718505008525312 
>警察が私の下に敷いていたブルーシートと断熱シートを無理矢理奪い取った。私は転倒して左膝を擦り剥いて、出血する。
>「明日、まだ居たら、またやってやるからな」


これ警察が事件の引き金を引いたようなものでは?

 https://news.livedoor.com/article/detail/17633210/ 
あとこれ、見返しててすごい引っかかったんだけど、「私には生存権がある」と主張するホームレスに向かって、警察が「権利ばかり主張して義務を果たしているのか?」って聞き返してるの。やまゆり園の事件で「義務を果たしてない障害者に生きる権利はない」と決めつけた植松被告と同レベルじゃん。 pic.twitter.com/RtnBDtvTFd
この手記のすべてが真実か、ただの創作なのか疑う余地はもちろんあるけど、もしこの話が本当なら、二つの事件も引きこもりの息子を殺した事件も「義務を果たさなければ生きる価値はない」って価値観が社会から人間をふるい落とそうとした結果生まれた事件って共通項が見出されてしまうな。
@eraitencho これをみたら、人殺しは犯人が100悪い事実は変わらないけど、犯人だけが責任を問われるとも言いきれない
実際にこう流暢に喋ったのか真実なのか疑わしいとこはあるけど、こんなことで起きる悲劇なら回避できたかも知れないというのは惜しい  https://twitter.com/eraitencho/status/1223292863816945665 
@eraitencho 犯罪を犯して居ない収監を希望する者に、刑務所という福祉を与える事で防げた可能性を思う。
@eraitencho ベクトルさえ違えば…。
その幹を作り上げてしまった家庭環境そのものがいかに極悪か…  https://twitter.com/eraitencho/status/1223292863816945665 
マスコミは犯人が自閉症であることを全面に打ち出していた。特性以前に育った環境が悪いとしか思えない。
文章をみるにつけ知性を感じる。回避できる道があったのではないか。  https://twitter.com/eraitencho/status/1223292863816945665 
@eraitencho 読ませる文章だし賢い人なんだろうけど全く罪のない赤の他人をコロすことに躊躇無さすぎて怖い
無法な警官への怒りをその場で爆発させないのは冷静さからなのか?
どんなきっかけがあっても、人を鉈でブチ殺す理由にはならん。  https://twitter.com/cpyomxlnso/status/1222718505008525312 
役所や警察の対応が動機なのではなくて、
犯行するための理由というか

「「むしゃくしゃするに値する出来事」をしてくれた」
「やっぱりこんな世の中はひどい」という自分が間違っていないことを補強してくれる出来事を待っていた気がする。

不幸な人が不幸を自分から無意識に求めるのと似ているのかも。  https://twitter.com/eraitencho/status/1223292863816945665 
「むしゃくしゃした出来事」というタイトルが非常に興味深い。
独学ながら高い教養を備えた犯人が官憲から冷たくされたくらいでむしゃくしゃするはずもないわけで、ある種求め続けた最期の鍵が「むしゃくしゃした出来事」だったわけだ。
文才もある。
本当に惜しいというか・・・  https://news.livedoor.com/article/detail/17633210/ 
身につまされ過ぎて読んでいて辛い。
理論武装したアスペルガーとの堂々巡りな会話の不毛さ、そういう方法しか取れない相手の立場、聞かされる側の苛立ち。
ひたすら辛い。
 https://twitter.com/CpYoMXLnSo/status/1222718505008525312 
無数の「思い込み」の行き場がなくなり、結実したと思う。  https://twitter.com/eraitencho/status/1223292863816945665 
これ僕と母親の会話そのものだな
よかった僕は生きてこれて
 https://twitter.com/cpyomxlnso/status/1222718505008525312 
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