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ところで最近脳波がやたらと注目されるんだけど、
脳波の発生原理って意外と今でも大半が謎だってことはあまり知られていない気がする。

fMRIにも同様の批判があるが、

脳波がやっていることは
「コンピューターの筐体の表面の温度を測ってCPUが今何度かを推定することでCPUの機能を憶測すること」
に近い
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実際にはそれこそ閉眼時α波やP300など「特定の事象との因果関係がよく知られている」脳波ないし事象関連電位が多く、臨床的にはある程度診断用途にも使えるのだけど、
裏を返すと特定の事象との因果関係が不明なケースでは何の使い物にもならない脳波信号の方が多いとも言える
もちろんこの地上には脳波信号の発生原理をものすごく真剣に研究している人たちもいて、
中には動物の脳からニューロン単位の活動電位・その集合電位・その皮質表面の電位・そのまた頭蓋表面の電位を同時に測るセンサを取り付けて測定して網羅的にデータを得るなんて研究もある。それでもまだ謎が多い
総説なのでデータは特に示されていないんだけど、今分かっている範囲の脳波の発生原理についてまとめてある論文がこちら。
The neurophysiological bases of EEG and EEG measurement: A review for the rest of us
これくらい大雑把にしか脳から発生する電気信号(電位変化)を捉えていないということが割と正直に書かれていて良い
大昔はClinical Neurophysiologyという雑誌がこの手の脳波や脳磁図の発生原理に関する超絶マニアックな研究ばかり集めた総本山だったんだけど、今でも出版されているようで何より
ちょっと誤解のある書き方をしたので補足をしておくと

「脳波が『現れる』原理についてはある程度知られているが
『特定の脳活動が脳波として検出される』原理についてはまだ謎な部分が多い」

と言うべきだったかも
引用元
面白い例え。。。
個人的には脳波計測って回路図もないコンピュータ内部の適当な線にプローブ立ててそこの波形を見ている感じで、
PCレベルならなんかわかりそうだけど、
例えばあの「京」についてそうやって全体で何をやってるか把握するって感じかなと(おいおい:-)
「夜の地球を見て経済活動を推測する」のほうが近いかな?
安静閉眼覚醒時以外、脳波っぽい波形の大半がノイズであることもあまり知られていない気がします。
わかりやすく整理された 脳波連投ツイート。

昔取材した研究者は脳波をスタジアムの音にたとえてました。
頭皮の表面から取ったデータは「スタジアムの入り口から聞こえる音に近い」と。
客席でしゃべっている内容=脳波を細かく分析するならばスタジアム=脳の内側まで入ってデータを取るしかないと
若干アジってる論文で、侵食的な神経科学の手法でも、コンピューターの仕組みはまるで分からないとかあったな
CPUやメモリが発するノイズを解析して、暗号キーを推定する手法(サイドチャネル攻撃)が存在するから、脳波を測定して思考を推定できても不思議ではないよね。
これは muse という脳波計を使いつつ、いつも思ってたなぁ。

とはいえ、CPUの電力消費からRSA鍵を解読、などというサイドチャネル攻撃もあるので、
侵襲性の測定器を使わずとも、もう少し予測精度が高くなる日が来るかもしれないと期待しつつ。
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