日本人には「苦痛信仰」と呼べるものがあると最近感じる。

苦痛や不便を耐えると人間的に成長できる、という根拠なき信仰だ。

この信仰が度々日本人に不合理極まりない判断や公道をさせていると思う。と同時に努力やリソースを正しいベクトルに導く思考を養う教育が蔑ろにされ続けてる。
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苦痛信仰は人間ピラミッドのような不合理な教育以外にも、
過重労働やパワハラといった労働問題、
パンプス強要や液体ミルク反対等の女性問題、
「躾」と称した児童虐待にも関わっていると思う。

また、合理化や技術で社会問題を解消するのを邪道視し、モラルや精神論を万能視する傾向も感じる。
平成に置き去りにしたいものの1つ。
痛いって言わない方が偉い…
って躾けられますね…
最近気の合う人と日本について話すたびにこんな感じになる
米国のプロパガンダ映画だっけ?
戦前米国が国内向けに流した宣伝画像。
現在との違いは見受けられない。
成長には痛みが伴うものですが
痛みを加えて成長するわけではないのよね。
日本人にみられる「苦痛信仰」。
数学で言う「集合と論理」に関する考えかたの破綻だと僕は思う。

「成長するためには苦労を伴うことがある」→「苦労しないと成長できない」
「少なくとも努力しないと報われない」→「努力すれば必ず報われる」


こういった論理のすり替えに気づく人は少ない。
江戸幕府ができた当時、如何に反乱を抑えるかが最大の課題だった家康が導いた答えが「みんな貧しく、それが当然と思い込ませる事」であり、
その一貫として苦労を美とする意識を植え付けたという説と共に、
苦労に見返りがなかった際の慰めとして尊く思う認知的不協和が原因だと思ってます。
いや、しかし私の子供のころ、昭和にもこんな意味不明な仕業はなかった。何か変質している。
明らかにエスカレートしてると思います。

無駄に肥大化するビジネスマナーとか、後から後から新たな苦行が追加され、昭和期より劣悪化してる面も多々あると思いますね。
日本人だけじゃないです。
古代インドのお釈迦さまの教えの1つが無意味な苦行の否定ですから。
二辺中道、正精進って、大切。
その当時の修行の主流であった難行苦行にがりがりに痩せこけるまで打ち込みながら、ついには「苦行では悟りは得られない」と迷妄を払い去られた仏陀の教えを今一度心にされるべきかと。
お邪魔しました。
こういうのホント嫌いなんだよなぁ。
苦痛やら不便を耐えたところで残るのは嫌な記憶とトラウマだけだよ。
トラウマを忌避する人間になるだけよ。
部活等に関しても競技の練習をする前にランニングやウェイトトレーニングで疲弊させ、へろへろで開始するのでまるで技術が身につかず、それどころか怪我に繋がるところを多く見る。
体力の増強は後でやれ、試合前に体力使い果たすバカいるか?と常々思っていた。
ホントにそう思うわ。
ただ、ホントに残念なのは、一定の効果があるということ。
確かに我慢や追い詰められた先にしか産まれないものもあるし、根性は至るところで急場を凌ぐ。
これが、指導するときに、頭悩ませるとこなんだ。
苦痛や不便を耐えると成長できるってのは根拠があります。
「心的外傷後成長」と呼ばれていて研究成果も多く発表されてます。

それはともかく、画像の人間ピラミッドは乗り越えるべき苦痛ではなく危険な行為です。
だから止めるべきであり、これを是としているかの様な印象付けは止めて欲しいです。
「心的外傷後成長(PTG)」を持ち出すまでもなく、学業やスポーツでも日頃の勉強や練習という苦痛に耐える事で成果が得られるでしょう。
しかしそれと人間ピラミッドやパワハラ、嫌がらせは、乗り越えるべき苦痛ではなく全く次元の異なる話です。
私が言ってるのはそういう意味です。
苦痛そのものが悪いわけではなく、「無駄な苦痛」が良くないのだということも一応言っておきたいですね。
目標に到達するために必要な苦労、苦痛というものはあります。
ただ苦痛を与えること自体が目的化してしまうのが問題だということですよね。
そうですね。

なにか事を成すなら、スポーツであれ学術研究であれ必ず忍耐と努力を必要とすると思います。

ただ、「努力と忍耐」は目的達成のための手段であって目的ではない。

それが苦痛自体が目的化し、目標達成の為の合理的手段を忌避する、という本末転倒が多発してるのが我が国の現状かと。
有りますね。
私自身、苦労をしてない奴は根性がないと感じる事が有ります。

でも、ちゃんと変わりつつ有りますよね?
もう既に変わった所もある。

苦痛を与えず、努力を促し、誉めて伸ばす。

そんな、社会までもう少しです。
引用元
「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
山本 七平
文藝春秋
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