51-NlxL7h8L

「愛着理論」は悪用できる諸刃の剣

「反応性愛着障害」とか「第4の発達障害」という言葉のせいなんやろうけど、

支援者が問題の原因を「愛着」に帰属するの禁止した方がええよな。

賛成です。
実際には子どもの現象面には複合した原因があり、様々な支援があり得るのですが、
愛着とか愛欠とかいう言葉で片付けてしまう大人が多くいます。
本当は、アセスメントをして「だからこのアプローチをしていきましょう」となるべきなのに、「私たちにできることはもうありません」になる。

ほんとにそうで、

愛着理論は悪用しようと思えば幾らでもできる諸刃の刃。

本来ボウルビィとエインズワースが理論化した目的は、

異常な環境を生き延びるために本能的にとってきた対人関係上の工夫の理論化で、
全ての愛着型に敬意を持つべきなのです。

安定型以外は不幸だとか考えるのはもってのほかです。

スポンサーリンク

「安定型以外は悪!」は間違い

「安定型以外は悪」その考え方自体が愛着理論の否定ですよね。

愛着は基本的動機づけシステムですので、
その人が生き延びるのに最も有利な選択をしているのにそれを否定するのだとしたら、
愛着理論を全く理解していないと言えますね。

実際問題、戦禍の中で生きている人に安定型愛着が最も健康的だとか言ったところで無意味でしょう。

戦禍の中、親を失えば、誰も信じない方が安全という場合も多いはずで、
その場合は回避型愛着が最も適応的ということもありうるし、

ともかくも生き延びるために過酷過ぎる体験を解離することも適応的です

たとえば虐待されレイプされた時、
意識(シャットダウンして解離する代わりに抵抗していたら殺されていたかもしれない。

つまり

愛着型はその時どきを生き延びるために最善を尽くした結果身につけた対人関係パターンなので、他人がとやかく言うものでもない

のだと思います。

問題は、環境が変わった時→

その対人関係パターンでは生きづらくなり、適応のためにそれを変容する必要に迫られることもあるわけですが、
その場合でもやはり求めるものは安全、安心です。

そしてそのような場面で出会う私たち援助者が
愛着理論をレッテル貼りのように用いてしまえば治療原性のトラウマを負わせることになるでしょう

ゆえ、愛着理論がその本来的な意味、意図を含んだかたちで広まってくれたらいいなと、その方面を少し学んだ者としては思っています。

ほんとその通り。
安定型の愛着は単に、その人が安全な環境で保護を十分受けてきたことを示す結果でしかないと思う。

心理士的には、子供は子供で、親は親で、生きるのに必死故に起こることと。
どれがいいとか悪いとかじゃないねん。

安定型以外は悪いと決めつけて「治す」みたいなスタンスがあるが、
対象者を追い詰めて自己評価を下げさせ、
ロクでもない救いに縋らせてる下衆に感じる。
被虐待は不幸だが、回避型が不幸だと決めつけるのはおかしい

そうそう、

愛着理論って初めて知った時、結構残酷な理論だなって印象を持ってたんですよね。

その後にサリヴァンの仲間による補償を知って少し気持ち救われたな。

早期母子関係って運ゲーだから、
養育者に対しての啓蒙には重要でも、子供側にとっては結構ナイーブなところですよね。

サリヴァンの「補償」とは

愛着理論では、青年期や成人期の親密性について、幼年期の愛着の延長線上でとらえようとするが、
サリヴァンはそれらを全く異質なものとしてとらえている。

二者関係での相補的なやりとりと、多人数の間での互酬的なやりとりは全く異なるということを、いまだに心理学は考えないのだろうか?

(つづき)
サリヴァンが少年期ギャンググループや、前青年期のチャムシップなどを重視したのは、
相補性による愛着関係の失敗が、互酬的な友人関係の原理によって補償されうる
ということである。
ただし、それらは人格形成の核ではなく、
「発症」を防ぐセーフティネットとして重要な役割を演ずる。

アタッチメント関係は保護を求める関係で子どものアタッチメントシステムと親の養育システムに支えられたもので、
同年代の集団の関係は所属(affiliation)システムに支えられたものとして別に考えられています。元々は。

映画「スタンドバイミー」などはまさにこれですね。

愛着理論の「解釈の拡大」問題

愛着理論は諸刃の剣、私も同感。
私自身がC-PTSDと同時に愛着障害を指摘されたことと、リタリコの仕事で愛着障害関連の記事を書いた(現在監修待ち)関連で何冊か本読んだ。

これは悪用しようと思えばいくらでもできるし、浅い理解で振り回せば当事者と親、特に母親を無駄に追い詰める理論だと思う。

「安定型愛着以外は不幸だとか考えるのはもってのほか」も同感。
私はどちらかというと、「すべての人間は等しく不幸」だと思ってる。
すべての人間は、「人間の個人として生まれた瞬間に世界との一体感を喪失した痛み」、そして「いつか死んでこの世の存在と別れる痛み」を背負ってるんじゃないかな。

最近は発達障害と愛着障害の関係性が言われてきていて、
発達性トラウマ障害(DTD)なんて言葉も出てきてる。

この分野に触れてるのは日本では特に子どもの分野では杉山登志郎先生、大人の分野では岡田尊司先生。

このへんの話題は本当に取り扱い注意なのよね、容易に「母親が悪い」に悪用されるから。

特に「大人の愛着障害」というと本出してるのは岡田先生だけ。
彼の本のトーンはかなり極端なので、読んでてヒヤヒヤする。
安定型愛着でない大人をすべて愛着障害と定義づけ、
成人の4割もが愛着障害である! でもあの偉人もこの偉人も愛着障害であった、素晴らしい!
みたいな感じで、何か既視感が…

子どもの発達、発達障害児者の支援、精神障害者の支援まわりの人は、相手の問題のベースにありうる機序、接し方のひとつのヒントとして愛着理論を意識しておくととても有用だろうとは思うけど、安易に愛着型がどうこう言い立てるのは血液型占いみたいなもんだなと思う。

本来、愛着障害と言っていいのは子どものかなり深刻な状態のものらしい。

岡田先生に代表されるような形で解釈を拡大させることにはかなりのリスクがあると思うな。

そんな中で、この本はよかった。
愛着理論の歴史的経緯がわかりやすく説明されてる。
アタッチメント
アタッチメント
posted with amazlet at 19.01.15
庄司 順一 久保田 まり 奥山 眞紀子
明石書店
売り上げランキング: 162,105

もともとはこんな↓感じだったんだよ、愛着(アタッチメント)の話って。

「多くの人は…極端に幸福なアタッチメント経験と極端に不幸なアタッチメント経験の中間にあって、世界や他者に対する調和のとれた期待を抱いて成長していく」

私はこの本を読むかぎりはなんか鼓舞されたな。

愛着障害、本当にそろそろ岡田尊司以外の論者が台頭して理論全体のアップデートがなされてもよいころ

「発達障害の愛着障害」とかいう愛着形成が無理ゲーな存在

悪用というより、

「愛着形成は3歳まで!」というルールが現代の生活環境だと無理ゲーになりがちなんだよね。

発達障害も加わるとさらに運ゲー要素が増して、

子供側の「愛情を受け取る受容器のバグ」という新要素も出てくるため、
リアルタイムで正答するにはあまりにもブラックボックスな子育てになる

「発達障害の愛着障害」は、通常のアタッチメントモデルでは今のところ正しく説明できていないような気がするのよな。

「発達が遅れてる」のだから、それなら当然、愛着形成の時期も通常より遅れる筈。

ボウルビィによれば愛着が形成される時期は通常生まれて2〜3年の間とされていますが、
「発達障害の愛着障害」の場合、愛着の形成時期はもっと遅れてくるのではないかと思う。

つまり、定型の愛着障害に比べて愛着にダメージを受ける射程期間が長い。
発達が遅いので。

結構いるんですよ

「両親は普通なのに愛着障害に共鳴する発達障害」という層。

恐らく「発達障害の愛着障害」と「定型の愛着障害」では、
安全基地の揺らぎやすさに大きな差があり、

発達障害だと通常より何倍も愛着障害チックになりやすいのだと思う

「親から愛されたのに愛着障害っぽい」人達の存在

愛着障害でよくあるのが

「親から沢山愛されたのに、愛着障害としかいえない生き辛さがある」

層なのだが
このタイプは恐らく「毒親」ではなく、

自分の事を「毒息子or毒娘」だと強く思い込んでしまった事で愛着に傷を負った可能性が高い

つまり親とは無関係な一人相撲でも、愛着障害は成立する。

虐待も受けてない、両親は優しくて常識人。
それでも愛着に問題があるという人は、
幼い頃に「セルフACループ」のような状態にハマっていたのではないかと思う。

愛着の問題は毒親だけではなく、自分のことを毒息子・毒娘だと強く思い込んだ経験からも起こってくるような気がしている

考えれば考えるほど「どうしようもなかった」としか言いようのない状況ってあって、発達障害とか愛着障害ってそれになりやすいんだよな

結局運命論?に陥ってしまうのかなと_φ(・_・

発達障害の人生を考える時
コクトーの「地獄の機械」という言葉を想わざるをえない。
大切な選択肢、人生のTLUE or FALSEを、
一つ一つ丁寧に丁寧に、誠実に間違えて。この今があるのだと思う。
正解などわからなかったし、どうする事もできなかった。
地獄の予定調和がそこにあったというだけだ

芸術的なまでにどうしようもない間違いを
誠実に悩み抜いた結果選んでしまう発達障害。

そしてその小さな間違いを丁寧に丁寧に積み重ね、
やがてくる致命的で巨大な悲劇が健やかに育つための滋養にしてしまう発達障害。

本当にね、【地獄の機械】という感じがする

まさに今、それを崩す為にここにいるわけでしょや

引用元
愛着と精神療法
愛着と精神療法
posted with amazlet at 19.01.15
デイビッド・J・ウォーリン
星和書店
売り上げランキング: 422,259