ウィーン・挫折
225: ななしさん 2015/08/15(土)08:59:34 ID:iSp
1908年 2月
ウィーン駅
ざわ…
ざわ…
(´゜ω゜`)「あう…あう…」
「どけ」
(´・ω・`)「す、すいません…」
「邪魔だ」 「FackYou」
(´゜ω゜`)「あわわわ」
(´;ω;`)(か…帰りたい…)
(´;ω;`)(アドルフは一体どこにいるんだろう…)
彡(゜)(゜)「おーいクビツェク、ここやー!」
(´;ω;`)「アドルフ! ああよかった…一生ここをさまよい続けるのかと思ったよ…」
ウィーン駅
ざわ…
ざわ…
(´゜ω゜`)「あう…あう…」
「どけ」
(´・ω・`)「す、すいません…」
「邪魔だ」 「FackYou」
(´゜ω゜`)「あわわわ」
(´;ω;`)(か…帰りたい…)
(´;ω;`)(アドルフは一体どこにいるんだろう…)
彡(゜)(゜)「おーいクビツェク、ここやー!」
(´;ω;`)「アドルフ! ああよかった…一生ここをさまよい続けるのかと思ったよ…」
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226: ななしさん 2015/08/15(土)09:02:12 ID:jNf
きてるやんけ!
227: ななしさん 2015/08/15(土)09:05:11 ID:BP8
きとるやん!
228: ななしさん 2015/08/15(土)09:06:19 ID:iSp
彡(゜)(゜)「おおげさやで 全く相変わらずやなぁ」
(´・ω・`)「そういう君はすっかり都会に馴染んでるみたいだね」
(´・ω・`)(混じりっ気ないグレーの冬用コート、グレーの帽子、象牙の握りのついたステッキ…こっちでも相変わらず服装はキチッとしてるなぁ)
彡(゜)(゜)「トランクでか杉ィ! 完全なお上りさんやんけ!」
(´・ω・`)「はは…母さんが色んなもの詰めこんでさ」
ざわ… ざわ…
彡(゜)(゜)「とりあえずこッから出るで 五月蝿くてかなわんわ」
(´-ω-`)「うん、ぜひともそうしたいね…」
彡(゜)(゜)「ほないくで」
229: ななしさん 2015/08/15(土)09:17:18 ID:iSp
(´・ω・`)(まず僕達はアドルフの家に向かうことにした 取り敢えず二人で住む部屋を見つけるまでの拠点だ)
(´・ω・`)(そして歩くこと数十分)
彡(゜)(゜)「ここが今ワイの住んでるところや」
(´゜ω゜`)「あれ…予想以上に綺麗なところだね…」
彡(゜)(゜)「表向きだけや」ガチャ
(´>ω<`)「うわっ、石油くさっ!!」
彡(゜)(゜)「大家は留守みたいや」
(´・ω・`)(アドルフの部屋はテーブルにも、ベッドにも、いたるところにスケッチがあった)
(´・ω・`)(とにかく、全てが粗末で荒れ果てていた)
彡(゜)(゜)「まっ、少し休憩しようや」
231: ななしさん 2015/08/15(土)09:33:24 ID:iSp
(´・ω・`)「食料も沢山持ってきたよ」
彡(゜)(゜)「お、おばさんgjやで」
(´・ω・`)「まずはジャガイモのパンケーキ」
彡(^)(^)「ドイツの家庭料理の代表格やな!」パクー
彡(>)(<)「あ~甘さが抑えてあった塩味が染みとる マッマが作ってくれたのを思い出すで~」
(´・ω・`)「だから肉料理にも合うんだよね はいローストポーク」
彡(゜)(゜)「肉食うの久しぶりや! あ~この歯応えとパンケーキのふっくら感がええな」
(´・ω・`)「はい次はブフテルン菓子 バニラソースをかけてね」
彡(^)(^)「お、ワイの好物やん 覚えとったんか」モグー
彡(-)(-)「この甘み…食感…チェコ生まれのものとは信じられん… 美味や」
232: ななしさん 2015/08/15(土)09:42:38 ID:iSp
彡(゜)(゜)「流石、まだ母親がいるだけあるな!」
(´・ω・`)(そらから、僕達は王様のようにたらふく食べた)
彡(゜)(゜)「家庭の味に、そしてクビツェクのウィーン進出に乾杯や!」
(´・ω・`)「かんぱーい」カツーン
彡(゜)(゜)「そういえば、ステファニーは今どうしてるんや」
(´・ω・`)「……」
彡()()「貴様…任務を怠ったな…」
(´・ω<`)
彡(゜)(゜)「ちっ、自分で出かけるべきやったで」
夕方
彡(゜)(゜)「クビツェク、宮廷劇場にいくで!」
(´・ω・`)「ええ…今日はもう休みたいんだけど…」
233: ななしさん 2015/08/15(土)09:53:56 ID:iSp
彡(゜)(゜)「ウィーンに来て、宮廷劇場も見ずに眠れるわけないやろ ほな行くで!」
(´・ω-`)(うーんこの感じもひさびさだなぁ)
宮廷劇場前
(´゜ω゜`)「おお、ホールからもうリンツのとは比べ物にならないや…」
彡(゜)(゜)「大理石の欄干、ビロードの絨毯、金色に化粧された天井… 大都市がなせる技や」
(´・ω・`)(それから、僕達は教会、聖堂、塔など、大都市の豪華絢爛な建物を見て回った)
(´゜ω゜`)(リンツのものとは何もかもが桁違いで、僕はまるで別の惑星に連れてこられた気がした)
彡(゜)(゜)
(´・ω・`)「このエイリアンに…フフ…」
彡(●)(●)「この先に普墺戦争時代の収容所があるんや…ぶち○こんだろか…?」
234: ななしさん 2015/08/15(土)09:59:25 ID:iSp
(´・ω#`)(こうして僕達は帰宅した その頃にはもう真夜中で管理人さんにチップを払う必要があった)
彡(゜)(゜)「ちっ、足下見おって…」
アドルフの部屋
彡(゜)(゜)「でな、クビツェク、ケルントナー通りの風景は…」
(´-ω-`)「うん…うん…」z
235: ななしさん 2015/08/15(土)10:05:38 ID:iSp
彡(゜)(゜)「ちっ、疲れ果てて寝おった 相変わらず貧弱な奴やで」
(´-ω-`)(気づけば、眠っていた)
(´-ω-`)(でも、この日はあまりに色々なことがありすぎた)
(´-ω-`)(家族との別れ、列車の旅、到着、喧騒、雑踏、裏路地、宮廷劇場)
(´-ω-`)(明日からは、新しい部屋探し それもピアノを弾けるところじゃいけないから大変そ…)
こうして、ウィーンでの初日は終わった
236: ななしさん 2015/08/15(土)10:19:24 ID:iSp
翌日
(´・ω・`)「うーん、やっぱりピアノを置いていいかって聞くとどこからも苦い顔されるね」
彡(゜)(゜)「まっ、当然やな」
彡(゜)(゜)「それに音楽家の部屋探しなんて駄目で元々や 根気強くいくで」
(´・ω・`)「うん、そうだね」
ーーーーー
ーーー
ー
(´;ω;`)「まずいよ…もう夕方だ 今日中に決めて明日音楽院に受験する予定だったのに…」
彡(゜)(゜)「しゃあないな…奥の手や 着いてこいや」
(´・ω・`)「?」
アドルフの借家前
(´・ω・`)「結局帰ってきただけじゃないか…」
彡(゜)(゜)「なぁに、お前は部屋で待っとれ」
(´・ω・`)「一体どうするつもりなんだろ…」
237: ななしさん 2015/08/15(土)10:27:06 ID:iSp
彡(゜)(゜)「大家と話がまとまったで! ここを引き払って二階の大きい部屋に移ることになったで ピアノもOKや!」
(´゜ω゜`)「ここの上!?」
彡(゜)(゜)「だから最後の手段言うたやろ 南京虫はいるが20クローネとお得やぞ」
(´・ω・`)「うん…そうだね…贅沢は言えないね」
こうして、元々アドルフが借りていた借家の二階の広いスペースが僕とアドルフの城となった
翌日
(´・ω・`)「じゃ、僕は音楽院の受験に行くよ」
彡(^)(^)「おう!頑張るんやで」
バタン
彡(゜)(゜)「……」
238: ななしさん 2015/08/15(土)10:36:47 ID:iSp
(´・ω・`)(受験はすぐに受けることができた)
(´・ω・`)(一般的な音楽の試験、その次は歌…そして和声学の筆記試験…)
(´・ω・`)(僕は音楽史については独学だったから少しそこが不安だった)
校長「受験生番号334番アウグスト・クビツェク君…」
(´・ω・`)ドキドキ
校長「おめでとう、合格だ」
(´^ω^`)「あ、ありがとうござます! ありがとうございます!」
(´・ω・`)(それからはもう、致せりつくせりなカリキュラムの説明がされた)
(´・ω・`)(プロの指揮者を紹介され、その人の下で総譜の研究や指揮を学べることになった)
(´・ω・`)(そして、僕はヴィオラ奏者として学内オーケストラにもいれてもらえた)
239: ななしさん 2015/08/15(土)10:45:52 ID:iSp
(´・ω・`)(ウィーンにきた当初は混乱したけど、今や僕はしっかりした地歩を固めることができた)
(´ ω `)(これまで僕は音楽の中に慰めと活力を見いだしていた)
(´・ω・`)(でもこれからは、音楽が僕の人生の中心になるんだ!)
(´・ω・`)(ついに、僕は椅子張り職人の埃っぽい仕事場から解放されて、音楽に生きることができるようになった)
(´^ω^`)
アドルフ…今すぐこのことを君に知らせたいよ
これでようやく、僕も君と同じ芸術家の登龍門に立ったんだよ…!
その頃
彡(゜)(゜)「さて…一年ぶりやな」
【大松造形美術大学】
240: ななしさん 2015/08/15(土)10:54:03 ID:iSp
彡(゜)(゜)
ー
ーーー
ーーーーー
一年前
教授松「受験番号334番、アドルフ・ヒトラー君」
彡(゜)(゜)「はいやで」
彡(^)(^)(これは主席やろなぁ…)
教授松「不合格だぞ」
彡(゜)(゜)「ファ!!? なんでや!!」
教授松「人物画が提出されてないぞ 合格させる訳にはいかないぞ」
彡(゜)(゜)「で、でも…その分は風景画の出来で補えるやろ…もっかいキチンと見てや…」
教授松「……」
教授松「正直こっちも微妙だぞ」
彡()()「ほげっ……」
242: ななしさん 2015/08/15(土)11:02:53 ID:iSp
ーーーーー
ーーー
ー
現在
彡(゜)(゜)「今度はちゃんと人物画も持ってきたで…」
彡(-)(-)「ぬかりはない筈や…だから頼む…頼むで…」
教授松「不合格だぞ」
彡(●)(●)「な、ななな、何でや!!!? ちゃんと人物画も提出したやろ!!」
教授松「単純に実力不足だぞ」
彡()()「な…」
彡(゜)(゜)「た……頼む……空気読んでくれや……親友が来たんや……今年合格せな……ワイは……ワイは……」
教授松「知らないぞ」
彡()()「ほげっ……」
教授松「代わりにといっては何だが一つ助言だぞ この風景画を見るに、お前は建築家向きだぞ」
彡(゜)(゜)「建築家……?」
ーーー
ー
現在
彡(゜)(゜)「今度はちゃんと人物画も持ってきたで…」
彡(-)(-)「ぬかりはない筈や…だから頼む…頼むで…」
教授松「不合格だぞ」
彡(●)(●)「な、ななな、何でや!!!? ちゃんと人物画も提出したやろ!!」
教授松「単純に実力不足だぞ」
彡()()「な…」
彡(゜)(゜)「た……頼む……空気読んでくれや……親友が来たんや……今年合格せな……ワイは……ワイは……」
教授松「知らないぞ」
彡()()「ほげっ……」
教授松「代わりにといっては何だが一つ助言だぞ この風景画を見るに、お前は建築家向きだぞ」
彡(゜)(゜)「建築家……?」
243: ななしさん 2015/08/15(土)11:16:05 ID:iSp
彡(゜)(゜)「せや…確かにそうや ワイは芸術も好きやが建築も好きなんや 何より都市の設計を想像するのも好きなんや…なんで今まで気付かんかったんやろ…」
教授松「わかったなら帰るんだぞ 次」
彡()()「くっ…」
教授松「受験番号335番エゴン・シーレ君、合格だぞ」
彡(゜)(゜)「ファ!!? こいつの訳わからん絵が合格ゥ!? 」
教授松「シーレ君は天才的な現代芸術を書くんだぞ ドラフト1位だぞ」
彡(●)(●)「現代ィ!? こんなものが……こんなものよりワイの絵の方が下なんか!!? こんな……退廃的な…」
教授松「いい加減にするんだぞ」
彡(●)(●)「ええんか!? 芸術家になれんかったワイがグレて犯罪者になってもお前の責任やぞ!!!!」
教授松「こいつをつまみ出すんだぞ」
彡(●)(●)「ふざけんな!!! こんな美大こっちから願い下げじゃボケェ!!! 」
245: ななしさん 2015/08/15(土)11:18:22 ID:YVx
へー。エゴンシーレがこのとき受かったのか
少女絵のファンだわ
少女絵のファンだわ
246: ななしさん 2015/08/15(土)11:22:23 ID:TF9
時代が写実では無かったからンゴねぇ
駄目だったのはそれのせいやろ
駄目だったのはそれのせいやろ
247: ななしさん 2015/08/15(土)11:25:58 ID:SX6
この教授松のせいで虐殺起きると考えるとマジで大松ぶんなぐりたくなるわ
248: ななしさん 2015/08/15(土)11:28:38 ID:iSp
裏路地
彡()()「くそ…くそ…」
彡(゜)(゜)「いや、…あんな美大入っても録なもんやないやろ… それに、建築家いう新しい目標も出来たやんけ」
彡(゜)(゜)「早速、建築学科について調べるで」
彡()()「す、数学の知識…!? こ、こ、高卒資格が必要……!?」
ー
ーー
ーーー
(*^◯^*) 『アドルフ、実科学校だけは卒業しとくんだ!』
彡(゜)(゜)『ふん、あんな馬鹿どもと一緒にいても馬鹿が移るだけや』
(*^◯^*)『高卒資格は、これから絶対に必要になるんだ! 言うことを聞くんだ!』
彡(゜)(゜)『んなもん必要ない ワイは芸術家になるんや! 芸術家に高卒資格なんて不要や!』
ーーー
ーー
ー
彡()()「ワイは…なんて…取り返しのつかないことを…」
彡()()「ワイは…落ちこぼれたんか…? ワイは… ワイは…」
彡(●)(●)「ンゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」
249: ななしさん 2015/08/15(土)11:29:20 ID:VKo
あっ...(察し)
250: ななしさん 2015/08/15(土)11:33:13 ID:SX6
なんてやきう民のAAが似合うやつなんだ
251: ななしさん 2015/08/15(土)11:33:18 ID:YVx
ヒトラーの風景画って上手いの?
253: ななしさん 2015/08/15(土)11:36:40 ID:SDD
>>251
まあ普通の人よりは上手いけどただそれだけってくらいやね
まあ普通の人よりは上手いけどただそれだけってくらいやね
254: ななしさん 2015/08/15(土)11:40:10 ID:Bsh
>>253
ほげっ……時代のせいで売れなかったのかと思ったら単純に実力不足かいな…
ほげっ……時代のせいで売れなかったのかと思ったら単純に実力不足かいな…
259: ななしさん 2015/08/15(土)12:05:40 ID:TF9
>>254
一応は食べていける程度まではいったんやで
不運はその頃に一次大戦が
一応は食べていける程度まではいったんやで
不運はその頃に一次大戦が
252: ななしさん 2015/08/15(土)11:36:00 ID:iSp
夜 アドルフ・クビツェクの借家
彡()()「」ガチャ
(´・ω・`)「アドルフ、遅かったね! どこ行ってたんだい」
彡()()「ああ…少し……な 音大の受験どやった?」
(´^ω^`)「ふふふ…バッチリ合格さ! これで二人でとも学生の身分だね!」
彡()()「おお…よかったやないか ホンマに…ホンマに…」
(´^ω^`)「うん…うん それでね、今までは、『音楽家』っていうやや曖昧な夢だったんだけど、今日明確に僕の夢が定まったよ!」
彡()()「ほう…なんや…? 聞かせてや」
(´^ω^`)「笑わないで聞いてよ…? 僕は…指揮者になろうと思うんだ!」
255: ななしさん 2015/08/15(土)11:45:15 ID:iSp
彡()()「指揮者… そら大胆に出たなぁ」
(´^ω^`)「うん 紹介された先生が素晴らしい人でさ」
彡()()ピクッ「先生…?」
(´^ω^`)「うん! 普段は大学で教鞭をとってて、講演の際は指揮者を務めてる凄い人なんだ!」
彡()()ピクッ「…教授?」
(´^ω^`)「うん! レールに落ちないように頑張らなきゃ」
彡()()ピクッ「レール…」
彡(●)(●)「ンゴ…!!!」
(´^ω^`)
彡(●)(●)「」
彡()()
彡(-)(-)「……」
彡(゜)(゜)「せやな、しっかり勉強せなアカンな 後悔しないように頑張るんやぞ」
(´・ω・`)「? うん!!勿論さ!!」
彡(^)(^)「さ、今日はクビツェクの合格祝いや! ジャンジャン飲むで!」
(´^ω^`)「飲もう飲もう!」
256: ななしさん 2015/08/15(土)11:56:20 ID:iSp
この時、僕は合格の嬉しさの余り、アドルフの心境に気付くことができなかった 今思えば、親友として恥ずべきことだと思う
(´・ω・`)「ここにグランドピアノを置きたいんだけど…」
彡(゜)(゜)「おいおい、ワイを音楽家にするつもりかいな? もっと奥に置けるやろ」
(´・ω・`)「はは、アドルフは部屋中を歩き回るのが癖だからなぁ」
アドルフが美大に落ちたという事実を察するのに、それほど時間はようしなかった
彡(゜)(゜)「まっ、その位はええ ピアノによってワイの知識欲も活発になるってもんや」
彡(^)(^)「よっしゃ、もう一回乾杯や」
(´^ω^`)『かんぱーい!』彡(^)(^)
その頃には、アドルフは美大を諦め、建築家になるための独学を始めていた
なんにせよ、こうしてウィーンでの共同生活は始まった
257: ななしさん 2015/08/15(土)11:56:31 ID:iSp
続く
258: ななしさん 2015/08/15(土)12:04:23 ID:KVr
ここから何がどうなればナチスが生まれるのか
260: ななしさん 2015/08/15(土)12:07:28 ID:TF9
>>258
そりゃもう第一次世界大戦のせいよ
始まらなきゃ貧困な画家レベルで
終わったんやで
そりゃもう第一次世界大戦のせいよ
始まらなきゃ貧困な画家レベルで
終わったんやで
262: ななしさん 2015/08/15(土)13:28:18 ID:ddV
ブリカスとフラカスのせいやろなぁ…
261: ななしさん 2015/08/15(土)12:31:37 ID:eeO
歴史の1ページか…
ヒトラーの1秒はワイの人生より歴史に影響するんやろな…
ヒトラーの1秒はワイの人生より歴史に影響するんやろな…
264: ななしさん 2015/08/15(土)14:14:27 ID:YVx
でもすげえよな
ビンボー絵描きが国のトップになるなんてな
ビンボー絵描きが国のトップになるなんてな
267: ななしさん 2015/08/15(土)22:00:51 ID:sNv
>>264
元々何事にも真剣で、明確な意思のもとに行動してる
そもそも試験に人物画が必要なのに自分が気にくわないって理由で人物画描かないで入学できるとする精神力がそこらのごくつぶしとわけがちがう
元々何事にも真剣で、明確な意思のもとに行動してる
そもそも試験に人物画が必要なのに自分が気にくわないって理由で人物画描かないで入学できるとする精神力がそこらのごくつぶしとわけがちがう
269: ななしさん 2015/08/16(日)00:24:54 ID:FIu
>>267
ただのアスペのような気もする
ただのアスペのような気もする
274: ななしさん 2015/08/17(月)05:16:15 ID:2re
300: ななしさん 2015/08/17(月)13:59:34 ID:gyi
>>274
ワイが絵ド下手なのもあるけどめっちゃ上手く見える
芸術はよう分からん
ワイが絵ド下手なのもあるけどめっちゃ上手く見える
芸術はよう分からん
275: ななしさん 2015/08/17(月)08:48:35 ID:4L6
>>274
なんとなく、カメラが手軽なところまで普及してたならカメラマンになってたかも、と感じた
人物に躍動感が無いのは世界を絵で見てた(映像で見てなかった)からなのかな?風景は動かない、だから絵にも動きはいらない。ってスタンスだったのかも
なんとなく、カメラが手軽なところまで普及してたならカメラマンになってたかも、と感じた
人物に躍動感が無いのは世界を絵で見てた(映像で見てなかった)からなのかな?風景は動かない、だから絵にも動きはいらない。ってスタンスだったのかも
カリスマの目覚め
276: ななしさん 2015/08/17(月)08:52:44 ID:FTF
ウィーンでの生活が始まって2ヶ月目のある日
朝6時
(´・ω-`)゜゜「ふあぁーあ さて、大学に行くか」
彡(-)(-)「ンゴー ンゴー」
(´・ω・`)(そーっと そーっと)ガチャ
(´・ω・`)(アドルフの朝は遅い 彼はいつも遅くまで建築家の勉強をしたり読書をしたりして、起きるのはいつも昼頃だ)
(´・ω・`)(対して僕は夜に楽器を弾くわけにもいかないから、さっさと寝て朝早く学校に行く)
学校
教授「ふむ、君の知識は目に見張るものがあるな」
(´・ω・`)「ありがとうございます」
278: ななしさん 2015/08/17(月)09:01:09 ID:FTF
教授「君になら任せられるかもな…」
(´・ω・`)「?」
教授「実は課外レッスンの仕事の枠があってね 報酬も多くはないが出る どうだい、やらないか?」
(´^ω^`)「ぜ、是非お願いします!」
(´・ω・`)(僕は音楽院にとても早く馴染むことができた 正当に評価され、優秀だと褒められた)
(´・ω・`)(こうして僕は、満足と幸福に浸りながら元気いっぱいに、毎朝音楽院に行っている)
借家
(´・ω・`)「来期の時間割はこんなところでいいかな」ペター
彡(゜)(-)「チッ…」
(´・ω・`)(おそらく時間割は、僕の将来の公的な保証書のように見えたのかもしれない)
279: ななしさん 2015/08/17(月)09:12:11 ID:FTF
彡(●)(●)「この大学というやつは! 古くて硬直した時代遅れの役人、理解不能な官僚、愚かな木っ端役人なんや! 大学なんか全部消し飛べや!」
(´・ω・`)(彼の顔色は死人のように青白く、口元からも血の気が引き、唇はほとんど真っ白だった)
(´゜ω゜`)(しかし彼の目は燃えるように輝いていた ぞっとするくらい…)
(´・ω・`)「でも、君が非難する大学の人たちは、やっぱり教授や先生なんだから色々彼らから学べることもあるんじゃない?」
彡(●)(●)「あの連中はワイを認めずに放り出しおった ワイは大学から締め出された…」
(´・ω-`)「……」
(´・ω・`)「それで、これからどうするんだい?」
彡(●)(●)「どうするんだい、と言ったな?」
(´-ω-`) (きっと、この質問については彼も何度も何度も自分に問いかけたんだろう 他に話せる人だっていなかったんだから…)
彡(゜)(゜)「ワイには本がある! 図書館がある! 大学なんぞ行かなくても建築の勉強はできるんや!」
これが、彼のウィーン生活の指針となった
281: ななしさん 2015/08/17(月)09:23:35 ID:FTF
あくる日 宮殿通り
彡(゜)(゜)「はぁー、この国はホンマ駄目やな」
彡(゜)(゜)「チェコ人、ハンガリー人、スロバキア人、ルーマニア人、クロアチア人、イタリア人……民族の寄せ集め…傲慢な支配者層」
彡(゜)(゜)「愚かや 実に愚かや この間おまえと行った遊園地もなんやあれは! あんなおもちゃでばか騒ぎしおって…」
(´・ω・`)(僕はそれなりに楽しめたけどね…)
(´・ω・`)「あ、アドルフ、皇帝が馬車に乗って宮殿に入っていくよ!」
彡(゜)(゜)「ほーんで?」
(´・ω・`)「即位60年だから最近は忙しいんだろうね」
彡(゜)(゜)「あーはいはい せやな」
(´・ω・`)「君はつくづく、この国の芸術以外の殆どを嫌ってるね…」
彡(゜)(゜)「はぁー、この国はホンマ駄目やな」
彡(゜)(゜)「チェコ人、ハンガリー人、スロバキア人、ルーマニア人、クロアチア人、イタリア人……民族の寄せ集め…傲慢な支配者層」
彡(゜)(゜)「愚かや 実に愚かや この間おまえと行った遊園地もなんやあれは! あんなおもちゃでばか騒ぎしおって…」
(´・ω・`)(僕はそれなりに楽しめたけどね…)
(´・ω・`)「あ、アドルフ、皇帝が馬車に乗って宮殿に入っていくよ!」
彡(゜)(゜)「ほーんで?」
(´・ω・`)「即位60年だから最近は忙しいんだろうね」
彡(゜)(゜)「あーはいはい せやな」
(´・ω・`)「君はつくづく、この国の芸術以外の殆どを嫌ってるね…」
282: ななしさん 2015/08/17(月)09:34:40 ID:FTF
彡(゜)(゜)「なーにが42年の平和を築いた皇帝や 平穏な世界なんてつまらんだけや」
(´・ω・`)「この前ロシアとニンジャの国が戦争したじゃない」
彡(゜)(゜)「ゆうてもワイらと関係ないやん さっさと起きへんかなぁー 一心不乱の大戦争! んで世の中の嫌なもん全部吹き飛ばせや」
(´・ω・`)「今の世の中戦争なんて起こる訳ないじゃん 大学の先生もそう言ってたよ」
彡(゜)(゜)「いいや、近いうち革命的な事件が必ず起こるで! てか起これや!」
(´・ω・`)(戦争が起こったら僕の指揮者の夢も駄目になるんだろうなぁ ま、戦争起きた時の心配なんて杞憂だよね)
彡(゜)(゜)「大体、この間のボスニア併合で戦争になるとこやったやないか! あんなもん国が弱ってますって言ってるようなもんやで! やっぱり教授なんて信用ならんな!」
彡(゜)(゜)「クビツェク、お前も教授やら他人に聞いた話しを鵜呑みにするんやなくて自分の頭で考えるんやで」
283: ななしさん 2015/08/17(月)09:43:55 ID:FTF
(´・ω-`)「はいはい、解ったよ」
(´・ω・`)(アドルフは、ウィーンでの生活を送るうちに政治への関心を高めていった)
(´・ω・`)(何より彼は『概念』というものを知らなかった)
彡(^)(^)「お、国民公園についたで! ここの英雄広場がパレードをするのに最適なんや!」
(´・ω・`)「リンツのウアファール地区を思い出すね」
彡(゜)(゜)「せやな… ああ…住むところに関してはあの頃のがよかったな… また帰ったら南京虫を駆除せな」
(´-ω-`)「それは言わない約束でしょ…」
284: ななしさん 2015/08/17(月)09:57:42 ID:FTF
(´・ω・`)(芸術の話をしていても、いつの間にか政治の話に移り代わってることも多くなった)
彡(゜)(゜)「こんなボロいアパートも、貧民も、体制もいづれ起こる『革命の嵐』が『理想国家』を誕生させることで払拭されるで」
彡(゜)(゜)「社会改革や それで新しい時代が到来し、劣悪な住宅は取り壊されるんや…」
彡(゜)(゜)「ワイの独学が完了する頃にそれはやってくるんや その時には正規の資格なんていらない実際の能力だけがものをいう素晴らしい時代が到来するんや」
彡(゜)(゜)「美大の目的は教授どもが自分の地位を脅かすワイの出世を阻むことにあるんや」
(´・ω・`)(彼は、美大に行くよりも行かない方が自分は進歩することを、教授たちに示そうとしていた)
(´・ω・`)(僕は思う 教授たちはあっさりアドルフの入学を拒否したけど、それによって入学させた場合よりも強力な勉強意欲とエネルギーを彼に与えることになったと)
286: ななしさん 2015/08/17(月)10:14:18 ID:FTF
(´・ω・`)「うーん、でもその独学の期間中どうやって生活するんだい? かなりの時間がかかるとおもうんだけど」
彡(゜)(゜)「そんなことは親父とマッマの遺族年金と孤児年金が切れてから考えるで」
(´・ω・`)(君の場合は新しい計画や構想に没頭するから余計に遠回りしそうなんだけどなぁ…)
彡(゜)(゜)「お前はええな 若い婦人に課外レッスンして金稼げるんやからな」
(´・ω・`)「あれは僕の努力じゃないよ 運がよかっただけさ」
(´・ω・`)「それに、僕に君ほどの才能があればとっくに何か副業を探しているよ」
彡(゜)(゜)「ほう…というと?」
(´・ω・`)「たとえば、アドルフはスケッチができるじゃん 新聞社や出版社でイラストレーターの仕事を探すのはどうだい」
彡(゜)(-)「ワイに対する期待は嬉しいがな、おそらく報道関係のスケッチなら写真の方がええやろ いくら優秀なイラストレーターでもカメラほど早くは書けん」
(´・ω・`)「じゃ、演劇の批評は? 君はもうその仕事をしてるようなものだし 君の批評を聞くウィーン市民は僕でなければならない訳じゃないだろう?」
(´・ω・`)「もちろん、過激な発言なんかには気を使う必要はあるけどね」
彡(゜)(゜)「ウィーン市民にはドイツ系のオペラだけやなくてイタリアやロシアのものも必要やろ」
彡(-)(-)「芸術は、特定の民族から生まれても、民族的な境界には束縛されんのや」
288: ななしさん 2015/08/17(月)10:24:04 ID:FTF
彡(゜)(゜)ギュルギュル
(´・ω・`)「ちょ…アドルフ…公園のど真ん中で脱糞しないでよ…」
彡()()「ワイがそんなことするわけないやろ…なに言うとんのや」
(´・ω・`)「あれ……なんとなくそんな気がしたんだけど」
彡(゜)(゜)「これは腹が空いとるだけや」
(´・ω・`)「君はいつも腹ペコだよね… 僕の母さんの料理を食べて以来パンとミルクとバターしか食べてないんじゃない?」
彡(゜)(゜)「飯なんてそれだけで十分や」
(´・ω・`)「僕も甘やかされてきた訳じゃないけど君の食事内容にはついていけないよ…」
289: ななしさん 2015/08/17(月)10:33:22 ID:FTF
彡(゜)(゜)「そろそろ帰るか 浮浪者が多くなってきよった」
(´・ω・`)「そうだね」
彡(゜)(゜)「おっ、図書館やんけ 寄ったろ!」
(´・ω・`)「あれ?君はあっちの図書館を使ってるんじゃなかったっけ?」
彡(゜)(゜)「色んな本を借りられるように3つの図書館の会員になっとるで」
(´・ω・`)「そ、そうだったんだ」
借家
彡(゜)(゜)パラパラ
(´・ω・`)「さっきから何を読んでいるんだい?」
彡(゜)(゜)「ル・ボンの『群衆心理』や これは凄いで」
(´゜ω゜`)「また建築と関係ない本読んでるんだね… どっちかと言うとそれは政治系の本じゃないの?」
290: ななしさん 2015/08/17(月)10:44:36 ID:FTF
彡(゜)(゜)「これからは群衆が中心の世界になるからな 勉強しとかんと」
彡(-)(-)「それに、フランス革命でも暴徒化した市民にいくつもの建築が破壊されたんや…」
(´・ω・`)「でも、直接建築には関係しないよね…」
彡(゜)(゜)「お前は本当に…なんというか小市民的やなぁ 金や職に関わらん本でも進んで読むべきやぞ」
(´・ω・`)(このようにアドルフは、ひたすら読書していた 本のない彼を想像することはできないくらいだ)
彡(^)(^)「おお、この本は本当に参考になるなぁ…」
彡(゜)(゜)「クビツェク! お前も愚かな群衆にならんようにこの本を読むんや! これは世の中の真実やぞ!」
(´・ω・`)「わかったよ…どれどれ」
彡(゜)(゜)「なにしとんねん! なんで目次をとばすんや」
(´・ω・`)「え…どうせ全部読むし…」
291: ななしさん 2015/08/17(月)11:01:44 ID:FTF
彡(゜)(゜)「全く、お前は本の読み方も知らんのやな! ええか、読書ってのは本を選ぶ時から始まっとるんや」
(´・ω・`)(この点で彼は、平均的な読書家よりも明らかに優れていた)
彡(゜)(゜)「ワイは馬鹿みたいに本を読む奴を知っとる 奴らは本から本へ一字一句読む…」
彡(`)(´)「ワイはそいつらを『博識』とは呼ばん 確かにそいつらは膨大な知識を得るが、脳はその取り入れた知識を分類整理する方法を知らん」
彡(゜)(゜)「一番大事なのは目次なんやで そして、最初に核心部分から読むんや そしてそこだけを覚えて頭の図書館にしまい込むんや」
(´・ω・`)(彼の読書は、自分の考えの中の欠けたピースを埋めるためのいわば知識の補完、つまりは自己確認の意味合いが強かったのかもしてない)
彡(^)(^)「この『群衆心理』は全部が核心や!そういう本だけ購入して手元に置いとくんや!」
彡(゜)(゜)「つうことで今から本屋に行くで!」
(´・ω・`)「ええ~」
彡(^)(^)「いやぁ~こんな本に出会ったんは『ドイツ英雄伝説』以来かもしれんな! はよ行くで」
292: ななしさん 2015/08/17(月)11:10:05 ID:FTF
彡(^)(^)「♪」テクテク
(´・ω・`)「君は確かに凄い記憶力を持ってるけど、本当に本だけで勉強を完成させるつもりかい?」ムキュムキュ
彡(゜)(゜)「ファ!?」
彡(-)(-)ハァー
彡(゜)(゜)「とにかくお前には教師が必要みたいやな ワイに教師は余計なだけや」
彡(゜)(゜)「お前みたいなのを他人の机で学ぶ居候っていうんやで」
(´・ω・`)「僕にはよくわからないや」
帰宅後
彡(゜)(゜)「つまり、群衆に理論は通じんで感情が聞くんや」
彡(^)(^)「それみろや、この本の著者もワイと同じ考えや」
彼はよく、読書の後こう言った
293: ななしさん 2015/08/17(月)11:10:56 ID:FTF
続く
295: ななしさん 2015/08/17(月)11:16:22 ID:FTF
ル・ボンの『群衆心理』は19世紀末の本やが今のネット社会でも十分参考になるで 講談社でててオススメや
301: ななしさん 2015/08/17(月)17:21:36 ID:Oun
>>295
ほーんおもろそうやな
読んでみるわサンガツ
ほーんおもろそうやな
読んでみるわサンガツ
298: ななしさん 2015/08/17(月)12:26:56 ID:Z5k
ホント面白い
302: ななしさん 2015/08/17(月)18:04:10 ID:OUR
自分の意見と合わんかった本は糞本だと切り捨てて、意見があった本ばかり読んでどんどん思想が暴走してったんだろうなぁ
303: ななしさん 2015/08/17(月)20:45:42 ID:lMu
ちょっとずつヒトラー総統のパーツが揃って来たな
高卒資格さえあればまた別やったんやろうなぁ
高卒資格さえあればまた別やったんやろうなぁ
307: ななしさん 2015/08/18(火)11:46:25 ID:Y3e
>>303
異様に強い自己承認欲求+コンプレックスの裏返しの差別意識+知識欲+大衆コントロールへの興味
あとはなんやろな?
異様に強い自己承認欲求+コンプレックスの裏返しの差別意識+知識欲+大衆コントロールへの興味
あとはなんやろな?
308: ななしさん 2015/08/18(火)11:51:07 ID:Lm2
>>307
カリスマ性やな
んじゃぼちぼちいくで
カリスマ性やな
んじゃぼちぼちいくで
310: ななしさん 2015/08/18(火)12:00:43 ID:Lm2
劇場
彡(^)(^)「やっぱりワーグナーは最高や!」
(´・ω・`)「リンツの劇場でも何回も聞いたけどやっぱり都会でのものとは格が違ってくるね」
彡(゜)(゜)「ワイはいつかドイツ民族の巡礼の地・バイロイトに訪れるで ヴァーンフリート館を見て、ワーグナーの墓参りをするんや…」
彡(^)(^)「そしてワーグナー自身が作った劇場でワーグナーの作品を見るんや! くぅ~夢が広がるで!」
アドルフの生涯では多くの夢と願望が未完のままに終わったが、この願望だけは完璧に叶った
チラ……チラ…
(´・ω・`)(……ん?)
チラ……チラ……
(´・ω・`)(向こうの婦人たちがこっちを見てる……?)
彡(^)(^)「やっぱりワーグナーは最高や!」
(´・ω・`)「リンツの劇場でも何回も聞いたけどやっぱり都会でのものとは格が違ってくるね」
彡(゜)(゜)「ワイはいつかドイツ民族の巡礼の地・バイロイトに訪れるで ヴァーンフリート館を見て、ワーグナーの墓参りをするんや…」
彡(^)(^)「そしてワーグナー自身が作った劇場でワーグナーの作品を見るんや! くぅ~夢が広がるで!」
アドルフの生涯では多くの夢と願望が未完のままに終わったが、この願望だけは完璧に叶った
チラ……チラ…
(´・ω・`)(……ん?)
チラ……チラ……
(´・ω・`)(向こうの婦人たちがこっちを見てる……?)
311: ななしさん 2015/08/18(火)12:06:04 ID:Lm2
(´・ω・`)(もしかして……僕にも春が……)ワクワク
チラ……チラ……
彡(゜)(゜)
(´・ω・`)(……)
(´・ω・`)(違う…この視線はアドルフに向けられたものだ……!)
(´・ω・`)(アドルフは質素な服装で素っ気ない控え目な態度……)
(´・ω・`)(僕と大して変わらないのに……一体どこに差があるんだろう?)
314: ななしさん 2015/08/18(火)12:28:01 ID:Lm2
(´・ω・`)(婦人たちは、彼の謎の魅力を感じとっていた)
(´・ω・`)(時には、振り向いて彼を見る婦人すらいた(これは宮廷劇場においてマナー違反))
チラ……チラ……
彡(゜)(゜)「…チッ 行くでクビツェク」
(´・ω・`)「う、うん」
(´・ω・`)(さらに驚くことに、これだけ人気があってもアドルフは何もしなかった)
彡(゜)(゜)「全く、なっとらん、なっとらんなぁ」
劇場 外
(´・ω・`)「君は強い女運を持ってるのに、どうしてそれを利用しないんだい?」
彡(゜)(゜)「……なんのことや? それより来週の公演は~」
(´・ω・`)(アドルフが周囲の出来事を見逃すとは思えない きっと気付こうとしていないんだ)
(´・ω・`)(なんでチャンスがあるのにそれを掴まないんだろう?)
315: ななしさん 2015/08/18(火)12:32:10 ID:Lm2
彡(゜)(゜)「そろそろ後半が始まるで 戻ろうや」
(´・ω・`)「うん」
女召使「あの……これ……」
女召使はアドルフの袖を引っ張り、カードを一枚手渡した
彡(゜)(゜)「はぁ…どうも」
女召使「」たったったっ
316: ななしさん 2015/08/18(火)12:36:47 ID:I8P
おっ
317: ななしさん 2015/08/18(火)12:37:33 ID:4ZS
実際ヒトラーもてたんか?
318: ななしさん 2015/08/18(火)12:38:09 ID:Lm2
(´゜ω゜`)(つ、遂に大きな秘密を掴んだぞ! これから新しいロマンスが始まるに違いない!)
彡(-)(-)ハァー
彡(゜)(゜)「またや」
(´・ω・`)「え…」
彡(゜)(゜)「見てみいや、これ お前やったらこの意味ありげな誘いに応じるか?」
(´゜ω゜`)「これは僕の問題じゃなくて、君の問題じゃないか」
(´・ω・`)「でも僕なら、あの婦人を失望させたくないかな」
彡(゜)(゜)「そか」
319: ななしさん 2015/08/18(火)12:44:50 ID:Lm2
ヴー
彡(゜)(゜)「お、そろそろ始まるで」
(´・ω・`)(一体女性たちはアドルフのどこにそれほど魅力を感じるんだろう?)
(´・ω・`)(たしかに彼は均整のとれた顔立ちでスラリとした若者だ)
(´・ω・`)(でも一般的に「美男子」と呼ばれる容姿じゃあない)
彡(゜)(゜)「あの主役、なかなかええ男やんけ」
(´・ω・`)(あの舞台の上で踊ってる美男子とアドルフの違いはなんだろう…?)
(´・ω・`)(考えられる線といえば……並外れた明るい目……)
(´・ω・`)(そして妙に厳しく、禁欲的な表情……?)
(´・ω・`)(う~ん……)
322: ななしさん 2015/08/18(火)12:55:34 ID:Lm2
オペラ終了後 街道
(´・ω・`)「そういえば、アドルフはステファニー以外に好きになった人っているの?」
彡(゜)(゜)「おらん ステファニー以外の女なんて眼中にもないで」
彡(゜)(゜)「ステファニーこそドイツ女性の理想像なんや… ステファニー以外の女にうつつを抜かすなんてことはドイツ民族に対する冒涜や」
(´・ω・`)(彼は既にステファニーを諦めていたけど、彼女はアドルフの道徳観の拠り所として彼の心中に生き続けた)
彡(゜)(゜)「彼女がウィーンにいたなんて信じられんな この都市は売春が蔓延るドイツ女性の敵や」
彡(゜)(゜)「全てはこの国の多民族性が悪いんや! チェコ人、マジャール人、クロアチア人、イタリア人が~!」
(´・ω・`)(ま~た始まった 最近は何を話してもここに行き着く)
323: ななしさん 2015/08/18(火)13:03:23 ID:Lm2
交差点
彡(゜)(゜)「この都市の性は乱れきっとる! 例えばバ……」
(´・ω・`)「バ?」
紳士ピクッ
彡(-)(-)「…いや、お前は知らんでええ」
紳士ジー
紳士「君たち、最近の暮らしぶりは如何かね?」
(´・ω・`)(おっ、身なりが上流階級のそれだ)
彡(゜)(゜)「いいとは言えませんな なにせ貧乏学生なもので」
(´・ω・`)「彼は建築を学び、僕は音楽を学んでいます」
紳士「なるほど、ならば未来のオーストリアを担う若者という訳だ」
324: ななしさん 2015/08/18(火)13:11:35 ID:Lm2
紳士「まずうち……の近くにホテルがあるんだ 夕食を食べていかない……か?」
(´・ω・`)「えっ、本当ですか!?」
彡(゜)(゜)「……」
(´・ω・`)「アドルフ、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
彡(゜)(゜)「…せやな ご馳走になろか」
ホテル前
(´゜ω゜`)「うわぁ……大きいところですね 屋上があんなに高い」
彡(゜)(゜)「ほう、中々ええ建築やな」
紳士ジー
紳士「さあ、早速中にイこうか」
325: ななしさん 2015/08/18(火)13:12:02 ID:lmi
ヒエッ……
326: ななしさん 2015/08/18(火)13:12:19 ID:JHX
あっ
329: ななしさん 2015/08/18(火)13:19:15 ID:Lm2
ホテル内
紳士「さぁ、好きなものを注文するといい」
(´・ω・`)「じゃあ僕は…」
彡(゜)(゜)「……」
(´^ω^`)「ふふ、僕こんなところに来たことないよ! アドルフは何を食べる?」
彡(゜)(゜)「せやな…じゃあワイは」
食後
(´^ω^`)「ああ~美味しかった 本当に今日はありがとうございます」
(´・ω・`)「って、あの紳士の方は?」
彡(゜)(゜)「いつの間にかいなくなったな」
紳士「おまたせ デザートはケーキしかなかったんだけどいいかな」
(´・ω・`)「デ、デザートまで!」
彡(^)(^)「おっ、甘い物はワイの好物や」
330: ななしさん 2015/08/18(火)13:25:55 ID:Lm2
食後
(´^ω^`)「ああ~もうお腹いっぱいだ」
彡(゜)(゜)「すっかりご馳走になりました」
紳士「いやいや、若者を応援することが大人の務めというものさ」
紳士「しかし、君は最近の若者にしては鋭い考えを持ってるようだね 先程交差点で君たちの話を聞いたらイても立ってもいられずにね」
(´・ω・`)「アドルフはすっごく女の人にモテるんですよ でも、全然それに興味を示さないんです」
彡(゜)(゜)「おいおい、よせって」
紳士「ほう…実に興味深いね」
334: ななしさん 2015/08/18(火)13:36:38 ID:Lm2
(´・ω・`)「さっきだって女の人からお誘いのカードを貰ったのにチラっと見ただけでしまっちゃうんです」
紳士「ははは、君は私の若い頃にそっくりだね」
紳士「私はフェクラブルックの工場主をしていてね、最近は金目当ての婦人ばかりに寄られてね」
彡(゜)(゜)「最近のウィーンは欲にまみれてますからな かつての英雄がいた時代が輝かしいばかりです」
紳士「本当にね… 筋骨隆々の男達が戦場で合間見えていた時代はもう遠い昔だ」
紳士「君の方は音楽を学んでいるんだってね 私は最近室内音楽に凝っているんだが」
(´・ω・`)「本当ですか! 室内での音響は~」
喋ること数分
(´・ω-`)「うーん、少し眠くなってきたかな……?」
彡(゜)(゜)「はは、彼は毎朝早いのでこの時間はもうベッドの上なんです ではそろそろ」
紳士「ああ、今日は実に楽しかったよ」
紳士「それと君……」
335: ななしさん 2015/08/18(火)13:42:58 ID:Lm2
二人の借家
彡(゜)(゜)「クビツェク、起きろや」
(´・ω-`)゜゜「うーん、あれ、僕いつの間にか寝ちゃってた?」
彡(゜)(゜)「全く、お前を背負って来るのは大変やったで」
彡(゜)(゜)「ところでクビツェク、お前あの紳士を気に入ったか?」
(´・ω・`)「申し分ないよ! 芸術を好み、とても教養ある人だ」
彡(゜)(゜)「他には?」
(´・ω・`)「? 他に何があるんだい?」
彡(゜)(゜)「クビツェク、どうやらお前は肝心なことを何もわかっとらんな」
336: ななしさん 2015/08/18(火)13:48:50 ID:t1J
ヒトラーいなかったら完全に掘られとるやんけ
337: ななしさん 2015/08/18(火)13:50:22 ID:Lm2
彡(゜)(゜)「このカードを見てみいや」
(´・ω・`)「何のカードだい? 名刺?」
『また、今日と同じホテルにおいで』
彡(゜)(゜)「つまり、あいつはホモや」
(´゜ω゜`)「ええ……!? 何それ……?」
彡(゜)(゜)「ホモってのはな……」
ーーーーーー
(´゜ω゜`)「ひええ…… アドルフ、まさかまた行くの……?」
彡(゜)(゜)「行くわけないやろ、このドアホ! 名刺はストーブにポイーや」
アドルフは大都市のさまざまな性的倒錯に強い嫌悪感をもって立ち向かっており、彼は自身も、若者がよく耽るマスターベーションを拒否していた
338: ななしさん 2015/08/18(火)14:00:06 ID:Lm2
堕落した都市ウィーンの真ん中で、アドルフは自身の周囲に堅固な防壁を築いていた
(´・ω・`)「うう…なんかショックだよ」
彡(゜)(゜)「まだまだクビツェクは田舎もんやな ここきて1年やぞ? ええ加減都会に染まれや」
それによって、危険な周囲から独立して内面的自由の中に自分の身を置くことができたのだ
彡(゜)(゜)ギュルギュル
(´・ω・`)「はは、アドルフまた空腹でお腹が鳴ってるよ ……あれ? さっきご馳走食べたのになんで? 」
彡(゜)(゜)「さ、最後に飲んだ紅茶が腹に合わんかったみたいやな!」
彼は孤独であり続け、修道士のような禁欲生活の中で自分の存在を守り続けているのだ
339: ななしさん 2015/08/18(火)14:00:25 ID:Lm2
続く
340: ななしさん 2015/08/18(火)14:04:07 ID:SLW
おつおつ
341: ななしさん 2015/08/18(火)14:09:36 ID:3hN
一気に読んでしもた
342: ななしさん 2015/08/18(火)14:12:27 ID:FDV
ヒトラーって人を惹きつけるものがあるよな
343: ななしさん 2015/08/18(火)14:13:30 ID:WNn
>>342
虐殺行為はNG
虐殺行為はNG
344: ななしさん 2015/08/18(火)14:22:02 ID:P9K
やっぱ面白かったわ
350: ななしさん 2015/08/18(火)15:38:47 ID:u8z
第一章は終わったな
354: ななしさん 2015/08/18(火)16:46:55 ID:IvH
クビツェクいい奴すぎる
355: ななしさん 2015/08/18(火)16:48:26 ID:noL
これしかしどこまでやるんや?
ヒトラーの最期までやってくれるんか?
ヒトラーの最期までやってくれるんか?
361: ななしさん 2015/08/19(水)09:04:11 ID:XcC
ゆっくりでいいから最後まで頼むで~イッチ
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・上記に該当しない個性的な書き込みに対する著しい中傷/嫌悪の表明
暫く上記ルールで運用します(適宜改訂の可能性あり)
悪質な場合は予告なしで規制の対象とさせて頂きます
ルールを守ってお使いくださいませ
コメント一覧
コメント一覧 (3)
名作。
それどころか、落ちぶれた自分と対象的に順調に成功を歩んでいる友人への嫉妬を抑え込んで応援し続ける高潔さすらある
もっとも、そうした潔癖な精神性がその後の虐殺行為につながってそうだが…