発達障害のあるお子さんに「カタン」で療育したケース
(togatterまとめ) 


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【以下、引用元より抜粋】



発達障害のあるお子さんにアナログゲームの一つ「カタン」をプレイしてもらったエピソードを紹介します。

中学二年生のSくんは軽度の知的障害があり、特別支援学級にかよっています。
やや大人しすぎる感はあるもの、素直な優しい子で、宮沢賢治の「雨ニモマケズ、風にもマケズ・・・イツモシズカニワラッテイル」を地で行くようなタイプ。学校や地域生活では問題らしい問題はありませんでした。

そんな彼に、知的な遅れのない子たちとともに「カタン」をプレイさせました。
このゲームは、木や土、鉄などの資源を集めながら自分の町や村を大きくしていくゲームです。
これらの資材はプレイヤー同士が交渉を通じて交換することができ、その交渉の成否がゲームプレイの鍵となっています。

 S君にカタンをやらせた理由は、やや大人しすぎる彼に交渉を通じて積極性を獲得してもらいたかったためです。私がS君の横につきっきりで、ゲームのルールと取りうる選択肢の説明を行いました。ただし自分で考えさせるため、戦略面のアドバイスは行いませんでした。

プレイが始まると、他のプレイヤーたちは次々とS君に話をもちかけ、彼が持つ木・土といった序盤で有用な資源を、当面必要のない羊や鉄といった資源と交換させたのです。交換を申し込まれた事自体が嬉しいS君は、交換条件をよく吟味しないまま、笑顔で有用な資源を手放してしまいます。

その結果序盤で手持ちが「羊5枚」と偏ってしまい、町が拡張できないS君。そんなとき、彼がサイコロで「7」を引当てました。「7」を出すと盗賊コマが動かせます。ライバルの領地に盗賊を侵入させ資源産出を止め、さらに資源を1つ奪える攻撃的なアクションです。

他のプレイヤーから「S君私の領地の置くのやめてね!」「おいS!俺んとこにやったら承知しないぞ!」と言われ、困り果てる優しいS君。

やむにやまれず、自分の領地に盗賊コマを置きました。さすがにこれは私がGMとしてナシにさせましたが、いずれにしても結果はボロ負けです。

この結果に私は慄然としました。

「カタン」というボードゲームを通じて、「交渉を持ちかけてくる相手の底意を見抜けず、唯々諾々としたがってしまう」という、彼が将来自立する際に直面するであろう課題が炙りだされたのです。


以前の職場で成年後見人(障害者や高齢者の財産管理などを行う人)について取材した私は、知的障害のある人が親亡き後に親族や悪徳業者によって財産を「毟られる」ことがあるのを知っていただけに、S君が「交渉を持ちかけてくる相手の底意を見抜けない」ことの危険性を強く感じたのです

そんなS君にどうやったら「交渉を持ちかけてくる相手は必ずしもあなたの利益を考えているわけではない」ことを理解してもらえるか?無論カタンをプレイさせるわけです。

ただし、2回目以降は指導の仕方が変え、積極的にS君に交渉することを促しました。「今道を作りたいけど、木がないわけだよね。今、木が余ってそうなのはRちゃん。じゃあ交渉してみようか。鉄2個と交換だったらOKしてくれるんじゃない?」といった具合です。

この際気をつけたことは、他の子がS君に交渉を申し込んだ場合は、たとえそれがS君に不利な条件であったとしてもアドバイスしないこと。なぜなら、交渉を申し込んだ子から見ればその行為は私がS君を依怙贔屓しているだけにすぎないからです。「全員がゲームを楽しむ」という前提はおろそかにできない。

しかし、S君は積極的に交渉を仕掛けていく過程で、不利な交渉も断れるようになってきました。自分が交渉を仕掛ける立場になれば、どんな条件なら相手が飲んでくれるか考えるようになります。ということは交渉をしかけられたときも「この交渉は自分にとって有利であるかどうか」を考えられるわけです。

5,6回プレイした後、S君は一人のプレイヤーとして充分な理解と戦略的意図を持ってプレイできるようになっていました。勝てるかと言えば、勝てない。良くて3位。一緒にプレイしている子の中にはIQ120を超えるような子が複数含まれ、彼らに比べるとどうしても先読みが効かないのです。

でも、S君は暇なときに少し恥ずかしそうに「先生、これやろうよ」といって「カタン」を持ってきます。ゲームの勝敗は別として、彼にとって達成感のあるゲームなのです。「自分を成長させてくれる」という実感があるのだと思います。


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【この記事への反応】


発達障害があっても訓練次第である程度の交渉能力が身につく、という実例はとても興味深い。しかもここでの失敗はあくまでゲームの中に止まるから訓練による実害はないし。実社会での交渉スキル磨きにステップアップできれば言うことなし。


こういう対話系のアナログゲームはコミュニケーショ能力鍛えるのに有用ってことかー。 大人にも使えそうだね(・ω・)


この子の障害の問題とは別に、そこはかとなくイジメの匂いを感じてしまうのは気のせいか……?

どっちかって言うと、改善されるのはS君では無くて、その周囲の人間の方なのでは? ◇S君のようなタイプの人間が存在する事を確認出来ることで、相互の不利益や不満を減らせるのかも。


この手のゲームは誰とやるかが重要。学力はあっても交渉事は全然ダメってのがバレるから、同じ学校の子らとはやらせたくはないんだなぁ。カタンで勝てるようになっても、リアルな交渉事ではカモられるから。

このゲーム僕がやってもボロ負けしそう……。お人好しというのは結局相手をよく見ていないという事になるのか。


ゲームの交渉を通じて、楽しみつつ、現実で騙され毟り取られることへの抵抗力を付ける。これは素敵なアイデアだ。

カタンとかモノポリーは「プレイヤー同士の社会的関係」つうゲーム外世界が反映されちゃう、ってのあるよなあ。

これ、興味深い。ゲームとは現実のシュミレーション。失敗しても大丈夫だし、達成感もある。みんなでやるゲームってとこが大事なのかもな。

交渉によって不利益を得る、悪意を隠して提案されることを実体験する機会って意外と少ないよなぁなどと考えてみたり




【管理人日誌】



こういうストラテジックなゲームを通して世渡りに必要な強かさを獲得していってほしいね!


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(そういえば昔、マジック・ザ・ギャザリングとかで遊んだなぁ。あれはコミュ障がクラスのヒエラルキーに割って入れる唯一のツールだった。懐かしいです。)

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