「暖簾に腕押し」…皮肉が効かない、
虫が好かない自閉症スペクトラムとの会話例
「アスペルガー」の呼称で知られる発達障害者は、近年その正式名称に変更があり

障害特性に明確な境目のない「グラデーション」のような概念である「自閉症スペクトラム(連続体)」という呼び名に統一された。

グラデーションなのだから、つまり「虹」のようなもので、同じスペクトラムに属する人の中でもその性質は様々である。

その中でも…

「会話力は人より劣るけれども、知能自体は高いタイプ」


が多く居ることをご存知だろうか。

そういうタイプは往々にして人の顰蹙を買う事が多い。

例えば、これや、これ等がそうだろう。

こういうタイプの特徴としては

『言語により「定義化」「見える化」されていない物事に対しては、「理解した」とみなさない』

ということが一つ挙げらる。

ゆえに、言外の意図を当意即妙で汲み取ってくれず、悪意を込めた皮肉が通用せず、話している方はまさに「暖簾に腕押し」のイライラを募らせることになる。

【例】



『僕は人間失格だお…。IQは凄く高いのに、たまに人の言ってる事を聞こうとしても理解できない時があるお。それに好きな事では誰にも負けないのに、他のことがからっきし苦手なんだお…』
47





『いや、好きな事以外できないとか、その時点でダメだろ』

38







『そうだおね…。どうすればいいんだお…』







『お前はまず、自分が人より劣ってるという自覚を持つ事から始めようか』

33







『?そう認めてるお。「人間失格」って、さっき言ったお?』







『お前、あくまでも自分がバカだと認めないんだな…。』
50







『いや、厳密にはやる夫は「バカ」じゃないんだお。
文章では理解できるし、興味ある事ならむしろ得意なんだお…』
36







『いやいや、でも人の言ってることは理解できないんだろ?
そういうのを世間ではバカっていうんだぞ…?』
15






『そうなのかお…?
特定の分野では優れてるから、一般的な「バカ」ではないんじゃないかお?』
49







『あー、ここまで言われてるのに「優れてる」とか言っちゃうんだ…?
お前、人の話聞かないタイプだろ?』
30







『「聞かない」のではなく、正確には「聞けない」が正しいお。
それについてもさっき言ったと思うお。聞こうとする意思がある事と、聞く事に障害がある事とは本質的に違うお』
57







『…とりあえず、お前がバカなのはよくわかったよ…』
50





『そもそも、「バカ」の定義は何なのかお?
それによって違ってくると思うお。』
36





もうやだお前…。

45
しかし注意していただきたいのは、こういうタイプは他人の皮肉や比喩が理解できないのではなく、

「なんとなくこういうことが言いたいのだろうが、相手がそれを言語によって明確に表明していない以上、自分が勝手に推測したり判断することはできない」

と考えているのであって、本当に皮肉が理解できていないわけではないのだ。(中にはそういう方もいるとは思うが)

大多数の人間は、コミュニケーションの最中、言語化されたメッセージに加えて相手の身振りや手ぶり、話している最中の声色等のノンバーバルなメッセージも全て含めて話の内容を解釈・判断し、ときに言外の意図を類推しつつ話の舵を切っていく。

上記の例のやらない夫(定型発達者)は、やる夫の発言の「IQは凄く高い」「得意分野では優れている」という部分に注目し、自らの経験と照らし合わせて「虚栄心」という感情を類推している。

【やらない夫からみたやる夫のイメージ】



『僕は人間失格だお…。IQは凄く高いのに、たまに人の言ってる事を聞こうとしても理解できない時があるお。

14







それに好きな事では誰にも負けないのに、他のことがからっきし苦手なんだお…』
20








はぁ…一体どうすればいいんだお????
58






チラッ…
37








うぜー…自分一人だけ特別な悩みを抱えてるとでも思ってんのかコイツ?
「そういうの、天才によくあるよね!」って、死んでも言ってやらねー。


29

しかし、こういうタイプの自閉症スペクトラムは

そもそも話のコンテンツ内容自体にしか関心がない

のであり、自らの発言が与える心理的影響や円滑なコミュニケーションよりも、

語彙や議題の正確さを出来うる限り優先させる

傾向にある。



『僕は人間失格だお…。たまに人の言ってる事を聞こうとしても理解できない時があるお。
それに好きな事では誰にも負けないのに、他のことがからっきし苦手なんだお…』
07







とりあえず、自分の特性を詳細に述べておくお。問題解決のために有益な情報が得られるかもしれないお…
07






『いやいや、好きな事以外できないとか、その時点でダメだろ』
おいおい、異端の天才気取りか?お前の悩みなんて大したことねーよ?


50




『そうだおね…どうすればいいんだお…』
やっぱダメか…再確認。何か解決策はないのかお…
48







『お前はまず、自分が人より劣ってるという自覚を持つ事から始めようか
気づけよ、”痛い”って)』

33





『?そう認めてるお。さっき「人間失格」って言ったお?
言った…おね?うん、言ってる言ってる。間違いない、表明済みだお。うまく伝わってなかったのかもしれないお…)』
37










『お前、あくまでも自分がバカだと認めないんだな…。』
そこじゃねぇよおい!得意分野があろうがなかろうが、お前は結局ただのバカなんだよ?

55








だんだん攻撃的になってるお…。劣っている人間である事は認めたし、自尊心を刺激するようなことは言ってない筈だお…

36










『いや、厳密にはやる夫は「バカ」じゃないんだお。文章では理解できるし、興味ある事ならむしろ得意なんだお…
(ここは一先ず聞かれてる事を正しく説明するお…それにしても話が進まないお…
48










『いやいや、でも人の言ってることを理解できないんだろ?そういうのを世間ではバカっていうんだぞ…?』
(え?認めないんだ…?そこ、あくまで認めないんだ?こだわるなおい…
59









『そうなのかお…?特定の分野では優れてるから、一般的な「バカ」ではないんじゃないかお?
この人はどうしてバカに拘るんだお…。そもそも、「バカ」…とは一体何か)』

37







『お前、ここまで言われてるのに「優れてる」とか言っちゃうんだ…?
お前、人の話聞かないタイプだろ?』
あー、こいつ友達いないだろうな…

50







『「聞かない」のではなく、正確には「聞けない」が正しいお。』
うーん、すごくイライラしてる…。今すごく敵意感じてる。…けど、それとこれとは別だお。ちゃんと正しく説明する必要があるお
52












『それについてもさっき言ったと思うお。聞こうとする意思がある事と、聞く事に障害がある事とは本質的に違うお』
そうか。わかった。話がかみ合わないのは、言葉の定義が違うからだ。一度定義を明確にする必要があるお
48








『とりあえず、お前がバカなのはよくわかったよ…(くぅ~うぜぇ~やめちくり~)』

33













『そもそも、「バカ」の定義は何なのかお?それによって違ってくると思うお。』
なぜ気づかなかったのだろう…?ここを曖昧にしていたら話が一向に進まない。バカとは何か。これは非常に興味深いテーマだとは思わないか?

55








『……(もうやだコイツ…)』

45



こういうタイプは、皮肉を理解しつつも、そこにピントを合わせるようなことをしない。
彼らにとっては、『内容の正しさ』のほうが大事だからだ。

ゆえに、自閉度の低い人間は、このタイプの自閉症スペクトラムを持つ人にたいして非常にイライラすることはあっても「こいつは俺をなめてるのか?」と考えるのは間違いである。

特に、体育会的マインドで集団や組織を束ねているリーダータイプお局様は、こういうタイプを本能的に察知して攻撃的になるところがあるので注意が必要だろう。

そして、いくら身振り手ぶりが異様でも、話している内容に虚栄心や甘えを感じても、隠された意図を邪推したり、または婉曲的に諭そうとしたり…といった事はしないほうがいい。

厳密な定義の世界に住む者にとっては、明確に表明していないことをダラダラと勘繰られ続けるのは時間の無駄だからである。



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※上記の例はあくまでも管理人の観察による仮説であり、具体的な臨床例やデータがある訳ではありません。くれぐれも、この例だけをもってして自閉症スペクトラム全体に当てはまる特徴と理解するのはおやめください。


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